KGC


慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス
授業概要(シラバス)


リージョナルアナトミー論G (奥田 敦

    2004年度秋学期 金曜日4時限
    科目コード: 45046 / 2単位
    カテゴリ: 27.クラスター-総合政策系科目(学部)
    2.研究領域科目−総合政策系科目(大学院)


1. 主題と目標/授業の手法など

    イスラーム圏を地域の実態に即した形で理解するための基本概念、方法論、実例の紹介を行なう。
    イスラーム圏の理解を困難にしている諸要因を明らかにするところからはじめ、その後数回をかけてイスラーム圏理解のためのもっとも根源的な主題の一つと考えられる「アッラー」についてその諸属性を紹介し、世界観の根幹に「タウヒード」という考え方を持つ人間とその社会について理解を深める。
    その上で、人権や経済あるいは異宗教徒(とくにユダヤ教徒)との関係、グローバル化といった現代的な諸問題を取り上げ、イスラーム圏についてのより適切な理解の道筋を示すことができればと考える。
    授業は講義形式で行なう。


2. 教材・参考文献

    原則として毎回レジュメを配布する。
    第2回〜9回『フサイニー師「イスラーム神学50の教理」――タウヒード学入門』(奥田敦訳/著)慶應義塾大学出版会、2000年(定価、本体2600円+税)
    第10回『イスラームにおける人権』(奥田敦編/訳)湘南藤沢学会、2001年。
    第11回「イスラームの信仰とスークの経済」『市場の法文化』法文化叢書◆国際書院、2003年2月、pp. 149-174。
    第13回「イスラームにおける宗教的義務の「法」的性格――ガバナンス論構築への手がかりとして」『KEIO SFC JOURNAL』vol.1, no.1, pp. 8-32, 2002年6月。


3. 授業計画

    第1回 なぜわからないのか中東・イスラーム圏
    一昨年の米国同時多発テロ以降中東・イスラーム圏は衝突と敵対と排除の対象に。イラク戦争はその象徴的出来事。またオリエンタリズムによる情報の歪曲と宗教に対する誤解と偏見も根強い。中東あるいはイスラーム圏の理解を困難にしている諸要因を明らかにする。

    第2回 イスラーム圏とイスラーム
    なぜリージョナルアナトミー論を宗教の視点から展開しようとするのか。宗教と人間、宗教と社会のかかわりを明らかにしながら、イスラーム圏におけるイスラームの教えの規定性、さらに「タウヒード」の概念の重要性について考える。

    第3回 イスラーム神学の諸前提
    「タウヒードの学」とも称される「イスラーム神学」を論じる際に前提となる基本的な概念、専門的な用語を解説する。

    第4回 存在の世界・悟りの世界(アッラーについて機
    「存在」「無始の古さ」「不滅」「生起物と相容れない」という神の4つの属性について紹介するとともに、道元の『正法眼蔵』に現れた認識論的な世界観との比較も行なう。

    第5回 神が一つであるとはどういうことか(アッラーについて供
    「自存」「唯一性」という神の属性について考察する。偶像崇拝や三位一体がなぜ受け入れられないのかについても考える。多神教といわれるものとの対比も行ないたい。

    第6回 アッラーは何をなすのか(アッラーについて掘
    「力能」「意志」「知」「生」「視」「聴」「語り」という存在的概念的な神の属性について紹介しながら、神は何を行なうのかを考察する。

    第7回 天命と人間の自由(アッラーについて検
    必然としての存在的意味的な7つの属性と、20の「不可能」、さらに「許容」という神の属性を紹介する。神の意志と人間の意思のかかわりなどについても考察する。

    第8回 預言者について
    クルアーンには、イブラーヒーム(アブラハム)、ムーサー(モーゼ)、イーサー(イエス)などを含めて25名の預言者が登場する。彼らの属性を紹介する。

    第9回 天使はなぜ人に祈るのか(イスラームにおける人間機
    「魂(ルーフ)」の視点からイスラームにおける人間のありようを明らかにしていく。それは天使と人間のかかわりを明らかにすることでもある。

    第10回 イスラームにおける人権(イスラームにおける人間供
    タウヒードの世界観に基づく人権とはいかなるものなのか。現代を代表するイスラーム学者の見解に基づきつつ、その根拠、特質、実践について考える。

    第11回 イスラームと経済
    利子を禁じる一方で、ザカーやサダカといった富の自律的な還流のシステムをもつイスラーム経済。フィールド・ワークから具体例を示しつつ、イスラーム圏におけるフィールド・リサーチの方法論についても考えてみたい。

    第12回 イスラームとユダヤ
    対立ばかりが際立たされ、パレスチナ問題ではその対立が問題の根源をなしているかのごとくにいわれる2つの宗教について、とくにイスラームの側から共存の可能性を探る。

    第13回 イスラームとグローバル・ガバナンス
    グローバリゼーション(アウラマ)はイスラーム世界にも様々な影響と変容をもたらしているが、イスラームの教え自体がすでにすぐれてグローバル的である。両者の関係の適正な整理は、地域の理解とガバナンス論へ新たな地平を拓く。


4. 提出課題・試験・成績評価の方法など

    学期末の試験による。


5. 履修上の注意・その他

    授業時間中の飲食は禁止する


6. 前提科目

    「宗教と文化」を履修していることが望ましい。


7. 履修条件

    なし


8. 旧科目との関係

    なし


9. 授業URL


2004-09-01 02:23:25


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