KGC


慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス
授業概要(シラバス)


安全保障論 (神保 謙

    2005年度春学期 火曜日2時限
    科目コード: 36130 / 2単位
    カテゴリ: 23.専門-複合系科目(学部)


1. 主題と目標/授業の手法など

    安全保障は古来より国家の最も重要な課題であった。今日の安全保障論は、国防(Defense)の概念から、多元的な安全保障(Security)の概念への変遷を背景として、ポスト・ポスト冷戦期の新しい概念構築を要請されている。本講義では、特に冷戦後の国際安全保障の特徴について、々餡繁姫劼粒鞠亜↓同盟関係、B森餞岼汰簡歉禧力、と鹽租的安全保障、シ鎧技術と国防産業、ζ本の防衛力と安全保障政策、対テロ戦争と安全保障論の新展開といった各論点に絞って検討する。

    「安全保障論」は欧米の大学においては基本的素養となっているにもかかわらず、日本のアカデミズムが十分に取り上げてこなかったテーマである。本講義では、グローバル・スタンダードとしての「安全保障論」を提供することを目指し、理論と実践の掛け橋となる理解の枠組みを提供する。

    授業は講義を中心とし、中間レポート(2000字以上)及び最終レポート(3000字以上)によって成績を評価する。また安全保障政策の実務に携わるゲスト講師(防衛庁・自衛隊等)を招聘する予定である。学生による質問・コメントは授業中、授業前後に積極的に受け付ける。


2. 教材・参考文献


3. 授業計画

    第1回 「空間横断の安全保障」の出現?:冷戦後と9.11後は安全保障に何をもたらしたか
    初回の講義は「安全保障論」全体のイントロダクションとともに、冷戦後・9.11後の安全保障概念の変遷について、「フレームワーク」を用いた議論の重要性を検討する。とりわけ「グローバル」「リージョナル」「バイラテラル」「ナショナル」の空間軸の「横断」と「侵食」について論じる。

    第2回 安全保障政策の体系:国防・同盟・多国間安全保障協力の諸類型
    本講義では、安全保障政策の多様な類型を理解することを目的とする。国家の防衛にあたり国内の治安、国家防衛、そして同盟関係などの諸枠組と共に、国際安全保障を担う多国間安全保障協力についても、その組織・目的・機能・限界性等について検討する。

    第3回 抑止論(deterrence)と拡大抑止(extended deterrence)
    安全保障論の基本概念は抑止論の理解とその応用によって形成される。本講義では基本抑止・懲罰的抑止・拒否的抑止などの諸概念を整理した後に、拡大抑止について冷戦期と冷戦後の特徴について検討する。

    第4回 核戦略とミサイル防衛
    冷戦期の安全保障論は米ソ両国の核戦略によって決定的に規定されていた。「大量報復戦略」「柔軟反応戦略」「相互確証破壊」などの諸理論を検討しつつ、冷戦後の核戦略についてレビューする。またミサイル防衛が登場した背景と現在の状況についても検討する。

    第5回 軍備管理・軍縮・不拡散・拡散対抗
    本講義では軍備管理・軍縮の歴史的経緯と理論を振り返りつつ、現代における大量破壊兵器(WMD)及び通常兵器の軍備管理・軍縮の状況と展望について論じる。またWMD不拡散とともに拡散対抗という概念が浮上した背景について理解する。

    第6回 国連の安全保障と多国間主義の可能性と限界
    第二次大戦後の国際安全保障に国連が果たした役割を理解すると共に、冷戦後の期待と挫折、9.11後の世界における国連の役割の再検討について検討する。同時に、多国間安全保障が具備する可能性と限界について理解を深める。

    第7回 欧州における多国間安全保障
    欧州における多国間安全保障の歴史(ウイーン体制、ロカルノ体制、北大西洋条約機構、欧州安全保障協力)を理解するとともに、欧州に浮上した「共通安全保障政策」(CSDP)の背景とその可能性について論じる。

    第8回 アジアにおける多国間安全保障
    第二次大戦後のアジアにおける「ハブ・スポーク」体制の特徴と、冷戦後の多国間安全保障の成立過程とその特徴について検討する。また近年の「新しい多国間メカニズム」について紹介しつつ、アジアにおける「ハブ・スポーク」体制が「ネットワーク」モデルとして変質する可能性についても検討する。

    第9回 軍事技術・国防産業・インテリジェンス
    安全保障論の理解に欠かせないのは、軍事技術の進展が安全保障概念・政策にいかなる影響を与えるかという視点である。本講義では現代の軍事技術を概観しつつ、国防産業と技術開発体制について検討する。また安全保障政策におけるインテリジェンスの役割についても理解を深める。

    第10回 テロリズムとカウンターテロリズム
    9.11事件は世界的に衝撃を与えたと同時に、米国の安全保障政策に地殻変動をもたらした。9.11事件の国際安全保障に与える意味を検討すると同時に、米国の「カウンターテロリズム」「先制行動論」の浮上した背景とその枠組を検討する。

    第11回 日本の安全保障政策と防衛体制 I : 防衛政策の基礎的理解
    本講義では第二次大戦後の日本の防衛政策が形成された背景を理解すると同時に、防衛政策の枠組み、日米安保体制、日本の防衛法制等について基礎的な理解を促す。

    第12回 日本の安全保障政策と防衛態勢 II : 現代の防衛政策の課題
    本講義では第11回の理解を基礎にしながら、現代の日本の防衛政策の課題について検討する。とりわけ日米安保体制の新しい展開、日本と国際安全保障とのかかわり、危機管理体制等について検討する。

    第13回 日本の安全保障政策と防衛体制  III :現代と将来の展望
    本講義では現在日本が抱えている安全保障政策の課題を整理し、予見しうる将来に生起しうる脅威と紛争の可能性、及びそれらに対するシナリオについて検討する。


4. 提出課題・試験・成績評価の方法など

    成績評価は中間レポート・最終レポートを基準とするが、出席や授業中の発言等も考慮し、総合的に評価する


5. 履修上の注意・その他

    なし


6. 前提科目

    特にないが「国際関係論」「戦後日本外交論」と授業内容は関連する


7. 履修条件

    なし


8. 旧科目との関係

    なし


9. 授業URL


2005-03-15 21:00:52


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