KGC


慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス
授業概要(シラバス)


戦後日本外交論 (草野 厚

    2006年度春学期 木曜日5時限,木曜日6時限
    科目コード: 25040 / 4単位
    カテゴリ: 15.汎用-総合政策系科目(学部)


1. 主題と目標/授業の手法など

     この授業は戦後日本が国際社会とどのように関わりをもってきたか、 歴史と現状を視野に学びます。 敗戦から21世紀の日本のあるべき姿まで、 その取り扱う範囲は極めて大きくなります。 しかし、 このグローバル化された社会において将来活躍する諸君が、 政府レベルでどのような外交を展開してきたかを知ることは重要でしょう。安全保障、通商、ODAやPKOといった国際協力、地球規模問題などをカバーする予定です。
     こ の授業のユニークな点は、 前半の講義と後半の討論と、 90分が二つ続くことです。前半の講義をもとに、後半では特定のテーマについて討論します。両者が有機的に関連しない場合も勿論あります。
    また、 5月の連休前後に編成されるグループごとに、 6月末に開催されるプレゼンテーションに向けて、 自主的な勉強会を行ってもらいます。 これは、 過去300 人を越える大人数でも、 実施してきました。 テーマは、 その年ごとに異なりますが、 何らかの形で、 現在、 将来の日本外交に関連しています。 昨年の大きな全体テーマは、アジア太平洋における日本外交でした。プレゼンでは、 外部の有識者からコメントをもらいます。 以上のように、 この授業は諸君が主体的に参加することが求められます。


2. 教材・参考文献

    渡辺昭夫 講座・国際政治・日本外交 東大出版会
    五百頭旗真 戦後日本外交史 有斐閣(事前に購入してください)
    草野厚 歴代首相の経済政策全データ(事前に購入してください)
    草野厚 日米安保とはなにか PHP
    草野厚 ODAの正しい見方 ちくま新書
    渡辺利夫ほか ODA 中公新書
    田原総一朗 日本の戦争 講談社
    中西輝政ほか 20世紀日本の戦争 文春新書
    中西寛 国際政治とは何か


3. 授業計画

    第1回 オリエンテーション
    コース全体の紹介を行います。一コマ目の第2回目以降の内容は、下記のとおりですが、あくまで、シラバス執筆時点での、考え方です。国際情勢は時々刻々変化しており、日本の対応も変わっているからです。特に、今年は、内容は、全体として、昨年と変わりませんが、プレゼンの仕方を変えようと思っています。日本外交の主要な事柄について首相や外相はどう考えていたのか。それに新聞の社説はどう反応していたかなどを紹介しつつ授業を進めます。まだ、シラバス執筆の時点で、最終的に固まっていません。二こま目の授業の進め方は、一コマ目の内容を受けて、諸君の積極的参加を募りながら、討論します。たとえば、諸君が現在の日本外交についてどのような印象をもっているかを聞いてみたいと思います。昨年は、米国によるイラク攻撃があり、日本の小泉政権は、同盟国の立場から率先して、これを支持し、復興支援の目的で自衛隊をイラクに派遣しました。諸君も考える機会が多かっただろうと思います。第2回目以降の授業では、様々な外交に関連するテーマについて、諸君がどのような認識をもっているかをアンケート調査し(一コマ目の終わりに実施)、それを直ちに集計して、二こま目の討論に反映させます。

    第2回 戦後日本外交のタイプわけ
    1951年までの占領期、その後の冷戦期と、日本には主権国家としての外交がなかったと揶揄する向きもあります。それはあまりに極端な見方ですが、そうではないと反論するためには、日本がどのような外交を行ってきたのか、大づかみに整理し、説明することが必要でしょう。

    第3回 安全保障からみた日米関係(1)
    日本が、戦後再び国際社会に復帰するには、連合軍との平和条約(講和条約)を結ばなければなりませんでした。そこに至る過程を、国際社会の変化や国内の状況を紹介しながら説明します。冷戦が1947年に勃発したことが、日本の運命を大きく変えたことが中心のテーマとなるでしょう。

    第4回 安全保障からみた日米関係(2)
    日本が国際社会に復帰する条件と同時に結ばれることになった日米安全保障条約。1960年の日米安保条約改定、1996年の日米安保再定義が行われるに至った理由や、各論としての1998年の周辺事態法などを考えてみたいと思います。朝鮮半島や、中国台湾関係についても、また多国間の安全保障システムについても言及します。

    第5回 日本の抱える領土問題
    鈴木宗男代議士のスキャンダルで俄かに注目されることになった北方領土をはじめ、いくつかの領土問題について、そのポイントを説明し、返還の可能性などについて議論します。

    第6回 通商問題
    経済摩擦という言葉はほとんど聞かれなくなりましたが、冷戦が終わるまでの日本外交の主要なテーマは、米国との経済摩擦でした。時には、両国関係全体を揺るがすような緊張も経験しました。なぜ、そうした摩擦が生じ、また、そのような摩擦は、現在ではあまり見られなくなったのか、考えます。

    第7回 通商関係からみたアジア
    日本の周辺諸国の経済的発展は、80年代、90年代に比べ著しいものがあります。日本は、どのような方針で臨もうとしているのか、またどのような成果を得てきたのか、考えてみたいと思います。

    第8回 国際協力(その1)
    国際協力としてのODAを考えます。憲法9条の制約から日本の国際協力の手段は限られてきました。ODAは国民の支持を受けて行われなければなりませんが、必ずしも十分に関心も持たれてきませんでした。したがって、よくその実態が知られているとはいえません。どのように、誰が行っているのか、基本から説明します。

    第9回 国際協力(その2)
    ODAの課題について考えます。なんのためにODAを行うのか。注目されているNGOとの協力関係はどのようになっているのか。援助国同士、国際機関との連携はどのようになっているのか。財政逼迫の状況から、これまでの規模を維持すべきなのか、考えます。

    第10回 国際協力(その3)
    国連平和維持活動に日本の自衛隊が参加してから10年がたちました。ODAとは違った形の国際協力がこうして行われるようになりましたが、つい最近まで、他の諸国とはかなり姿を変えた参加ぶりでした。なにが、どう異なっていたのか、そしてその理由は等々、考えます。

    第11回 平和構築
    国際協力の新しい考え方に平和構築とよばれるものがあります。簡単にいえば、紛争後のPKO活動や最小限の人道援助から、いかに本格的な国づくりに資する援助にどう、つなげていくかを考えるというものです。ポイントを紹介します。

    第12回 地球規模問題
    平和構築と同様に、日本も含めた多国間の協力によって考えられる問題です。環境、AIDS、麻薬などについて、国際協力の場には、どのようなものがあるのか、その成果は、また日本の役割はなどについて考えます。授業終了後、打ち上げを行います。

    第13回 プレゼン
    最終回は講義はありませんが、期末テストを行います。詳しくは授業でのアナウンス、授業HPを参照してください。


4. 提出課題・試験・成績評価の方法など

    一回の読書感想文、一、二回のミニテスト、討論の場で行われるミニグルワの感想文、プレゼン用グルワの出席状況、プレゼン当日の出欠、最終テストなどを勘案。今年のプレゼンは別途発表します。当日は、午前10時半から午後7時まで、時間をあけてください。これに出席しないと成績はつきません。


5. 履修上の注意・その他

    これまで世界史、日本史などの履修経験がなくても構いません。ただし、積極的な参加と努力が前提となります。なお、内容がイデオロギー的な部分もあるので、自説に固執せずに、頭の体操のつもりで、さまざまな意見を吸収する柔軟さを持って、履修してください。教師は一定の考え方をもっていますが、自説を押し付けるつもりはありません。教師と異なる考え方をテストで書いたとしても、論理的である限り、評価にはまったく影響しません。
    なお、二こまのうち、一こま(前半の講義)目の内容は、基礎的な事柄が中心となります。履修希望者は、その点を承知したうえで履修したと了解します。したがって、基礎力はあり、同じことは繰り返し勉強したくないという諸君は、履修をすすめません。二こまのうち、二こま目のみの出席は認めません。あくまで、二つがセットになっているためです。
    なお、授業計画は暫定的なもので、変更する可能性があります。


6. 前提科目

    ありません。


7. 履修条件

    なし


8. 旧科目との関係

    なし


9. 授業URL


2006-03-12 23:44:34


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