KGC


慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス
授業概要(シラバス)


リージョナルアナトミー論G (奥田 敦

    2006年度秋学期 金曜日4時限
    科目コード: 45046 / 2単位
    カテゴリ: 27.クラスター-総合政策系科目(学部)
    2.研究領域科目−総合政策系科目(大学院)


1. 主題と目標/授業の手法など

    イスラーム神学の基本原理を学びながら、イスラーム圏を読み解くための新しい方法論の構築を模索すると同時に、イスラーム的視点から眺めたときのイスラーム圏についていくつかの具体例を提示する。イスラーム圏に対する理解は、 表層的でステレオタイプ化されたイメージや言説の域を出ないことが多く、しかも、イスラーム圏では「現実」(現に起きていることと)と「真実」(そうなるべきであるとして望まれていること)の間にも大きな乖離があり、その実相がなかなか捉えられない。こうした状況を是正するために、 この講義では、 イスラームの教えそれ自体から方法論を導き出すという立場から、「アッラー」と「アッラーの預言者」の属性を扱うイスラーム神学の中から基本的な教理を紹介しながら、 世界観の根幹に「タウヒード」という考え方を持つ人々とその社会を理解するための最適な方法論を構築する手がかりを考えていく。 また、 こうした神学からの方法論に加え、 法学からの方法論構築についても適宜触れながら、 近代化、 グローバル化の波及によってこの地域に現われた現代的な問題についても言及して、 イスラーム世界に対する理解を深めると同時に、グローバル化時代の人類社会全体に対して、何ものにもとらわれないもっとも自由な学問的な視座を拓く試みにもなればと思う。


2. 教材・参考文献

    原則として毎回レジュメを配布する。
    第2回〜9回『フサイニー師「イスラーム神学50の教理」――タウヒード学入門』(奥田敦訳/著)慶應義塾大学出版会、2000年(定価、本体2600円+税)
    第10回『イスラームにおける人権』(奥田敦編/訳)湘南藤沢学会、2001年。
    第11回「イスラームの信仰とスークの経済」『市場の法文化』法文化叢書◆国際書院、2003年2月、pp. 149-174。
    第13回「イスラームとグローバル・ガバナンス」『グローバル・ナショナル・ローカルの現在』慶應義塾大学出版会、2006年。「イスラームにおける宗教的義務の「法」的性格――ガバナンス論構築への手がかりとして」『KEIO SFC JOURNAL』vol.1, no.1, pp. 8-32, 2002年6月。




3. 授業計画

    第1回 イスラーム圏理解を妨げるの誤謬の構図
    一昨年の米国同時多発テロ以降中東・イスラーム圏は衝突と敵対と排除の対象に。イラク戦争はその象徴的出来事。オリエンタリズムによる情報の歪曲と宗教に対する誤解と偏見も根強い。中東あるいはイスラーム圏の理解を困難にしている諸要因を明らかにする。

    第2回 アッラーはどこにいるのか
    なぜリージョナルアナトミー論を宗教の視点から展開しようとするのか。宗教と人間、宗教と社会のかかわりを明らかにしながら、イスラーム圏におけるイスラームの教えの規定性、さらに「タウヒード」の概念の重要性について考える。

    第3回 イスラーム神学の諸前提
    「タウヒードの学」とも称される「イスラーム神学」を論じる際に前提となる基本的な概念、専門的な用語を解説する。

    第4回 存在の世界・悟りの世界(アッラーについて機
    「存在」「無始の古さ」「不滅」「生起物と相容れない」という神の4つの属性について紹介するとともに、道元の『正法眼蔵』に現れた認識論的な世界観との比較も行なう。

    第5回 神が一つであるとはどういうことか(アッラーについて供
    「自存」「唯一性」という神の属性について考察する。偶像崇拝や三位一体がなぜ受け入れられないのかについても考える。多神教といわれるものとの対比も行ないたい。

    第6回 アッラーは何をなすのか(アッラーについて掘
    「力能」「意志」「知」「生」「視」「聴」「語り」という存在的概念的な神の属性について紹介しながら、神は何を行なうのかを考察する。

    第7回 人間は自由なのか拘束されているのか(アッラーについて検
    必然としての存在的意味的な7つの属性と、20の「不可能」、さらに「許容」という神の属性を紹介する。神の意志と人間の意思のかかわりなどについても考察する。

    第8回 預言者について
    クルアーンには、イブラーヒーム(アブラハム)、ムーサー(モーゼ)、イーサー(イエス)などを含めて25名の預言者が登場する。彼らの属性を紹介する。

    第9回 天使はなぜ人に祈るのか(イスラームにおける人機
    「魂(ルーフ)」の視点からイスラームにおける人間のありようを明らかにしていく。それは天使と人間のかかわりを明らかにすることでもある。

    第10回 イスラームにおける人権(イスラームにおける人供
    タウヒードの世界観に基づく人権とはいかなるものなのか。現代を代表するイスラーム学者の見解に基づきつつ、その根拠、特質、実践について考える。

    第11回 イスラームと経済
    利子を禁じる一方で、ザカーやサダカといった富の自律的な還流のシステムをもつイスラーム経済。フィールド・ワークから具体例を示しつつ、イスラーム圏におけるフィールド・リサーチの方法論についても考えてみたい。

    第12回 イスラームとユダヤ
    二つの教えはなぜ対立ばかりが際立つのか。レバノン戦争における非人道性にもふれながら、二つの教えを実践の現状という観点から捉えなおし、両者の共存の道を考える。

    第13回 イスラームとグローバル・ガバナンス
    グローバリゼーション(アウラマ)はイスラーム世界にも様々な影響と変容をもたらしているが、イスラームの教え自体がすでにすぐれてグローバル的である。両者の関係の適正な整理は、地域の理解とガバナンス論へ新たな地平を拓く。


4. 提出課題・試験・成績評価の方法など

    学期末に論述試験を行う。


5. 履修上の注意・その他

    授業時間中の教室での飲食は禁止する。


6. 前提科目

    なし


7. 履修条件

    なし


8. 旧科目との関係

    なし


9. 授業URL


2006-09-04 13:06:23


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