KGC


慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス
授業概要(シラバス)


都市空間の構成 (日端 康雄

    2007年度秋学期 木曜日1時限
    科目コード: 60660 / 2単位
    カテゴリ: 3.プログラム科目(大学院)


1. 主題と目標/授業の手法など

    都市に居住、あるいは活動する人間にとって、快適で安全、また利便性に富む魅力的な都市環境の構築、あるいは再構築を図るために必要な都市システム、都市の設計技法、制度の設計、関連する都市政策などについて学ぶ。とくに、土地利用、施設空間、環境設計などの観点からの理論と実際例の分析を通じて、有機的で動的なシステムとして都市をとらえる視点を身につける。
    また、これらによって、将来、都市プランナー、デザイナー、あるいは建築家となることを志向する者には、その素養、専門知識を身につけ、また、地域開発や各種の開発企画に携わる専門的教養を養う。


2. 教材・参考文献

    各回の授業シラバスの末尾に示す。


3. 授業計画

    第1回 9月27日 オリエンテーションほか
    授業全体の考え方やすすめ方を解説するとともに、履修希望者のバックグラウンドを理解するために簡単なアンケート調査等を実施する場合がある。また、担当教員の簡単な自己紹介を行う。
     都市形成のルーツと都市空間構成の原理:「自然は神がつくり、都市は人間がつくった」といわれるが、都市とは何か、について都市の類型、つまり、前近代都市と近代都市、古代都市、近世都市、封建都市、あるいは、工業都市、商業都市、住宅都市などを論じ、それを通じて、都市形成の原理、自然都市と計画都市の差異を論ずる゜
     参考文献
    日笠 端・日端康雄 都市計画 第3版』共立出版1993年(1章都市計画の発達、2章都市計画の意義)
    レオナルド・ペネーヴオロ(佐野散彦・林寛治共訳)『図説世界の都市史1〜 4」相模書房 1983年(古代、中世、近世、近代の代表的プロジェクトを図でみる)
    B・ガリオン. S・アイスナー (日笠端監訳 森村道美/土井幸平訳)
    『アーバン・パターン』日本評論社1975年(近代都市計画の出発点にある歴史的経験をみる)
    三村浩史『地域共生の都市計画』学芸出版社 1997年(現代日本の都市計画の理念をどう捉えているか)

    第2回 10月4日 前近代の都市と計画
    人類のながい都市文明の歴史は農業革命に始まる。古代から19世紀まで、都市は城塞環濠都市であった。この講義では、産業革命以前の前近代の時代の都市形成と都市計画の関連を城壁都市の観点から見ていきたい。
    鯖田豊之 『都市はいかにつくられたか』 朝日新聞社1988年(ヨーロッパの代表的な都市がどのように誕生してきたかをみる)
    西川幸治 『都市の思想(上)』日本放送協会 1994年
    陣内秀信 『都市と人間』 岩波書店 1993年
    木村尚三郎 『都市文明の源流』 東京大学出版会 1977年
    片山和俊・新明 健 『空間作法のフィールドノート』 彰国社
    森田慶一訳註 『ウイトルーウイウス建築書』東海大学出版会 1979年

    第3回 10月11日 街割りの都市計画
    古代都市からの5千年の都市計画史のなかで都市の空間組織として、格子割りの街割りがなされてきた。一見単純にみえる格子割の設計の中に何が隠されているのかをみていきたい。
    参考文献
    L,マンフオード(生田勉訳)『歴史の都市 明日の都市」 新潮社 1969年(先進工業国の都市計画の経験とその変遷をみる)
    E・ラスムッセン(生田勉訳)「都市と建築』 東京大学出版会1993年(「神殿としての都市」「植民都市」「ルネッサンスの理想都市」などを参照)
    Frank Jackson SIR RAYMOND UNWIN −Architect, Planner and Visionary― AZWEMMERMD 1985 (4章 アンウインと都市計画の誕生を参照)

    第4回 10月18日 工業都市化と近代都市計画の百年
    イギリスの産業革命に端を発する欧米社会での産業構造の大転換は深刻な都市問題を生みながら、他方で、フランス革命などを契機に民主主義や近代社会を築いていく。また資本主義社会のもとで自由な都市発展と公共性に基づく行政の介入が近代都市計画を形作ってきた。近代都市計画とは何かを議論する。

    参考文献
    L・ペネヴオロ(横山正訳)『近代都市計画の起源』 鹿島出版会 1976年(近代都市計画運動の起源を比較する。)
     ル・コルビジェ(坂倉準三訳)『輝く都市』 鹿島出版会 1968年(原著は1947年)(機能主義、合理主義、芸術論に徹した都市計画理論の一例を学ぶ。)

    第5回 10月25日 都市成長のメカニズムと都市計画
    なぜ、人は都市に集積するのか。都市化のメカニズムを解明し、それを計画に取り入れることが、正しい都市計画の出発点である。都市化のメカニズムと都市化によってもたらされえる都市の変容をいくつかの事例を通じて明らかにするとともに、都市化のメカニズムへの公的介入としての都市計画のさまざまな方式を明らかにする。
    参考文献
    C・A・ドクシアデイス(磯村英一訳) 『新しい都市の未来像』鹿島出版会  1965年(都市の誕生から幼年期、小年期、青年期、壮年期、老年期と都市計画の関与をみる)

    第6回 11月1日 巨大都市圏の都市構造デザイン
    人類の歴史において、既に古代ギリシャにメガロポリスが存在したとされるが、前近代においては地球上に100万人を超える大都市は、ロンドンや江戸ぐらいである。しかし、戦後、先進工業国において巨大都市の形成が急速に進み、さらに21世紀には、開発途上国の巨大都市化の時代になることはまちがいない。巨大都市の形成要因とは何か、巨大都市成立の条件を考える。また、巨大都市の諸問題、とりわけ、居住問題に触れてみたい。
    巨大都市圏はどのように成長してきたのか、先進工業国の主要な巨大都市圏を比較することでそれをみたい。また、そうした巨大都市圏の空間構成の違いをみることで巨大都市圏の都市構造デザインの考え方を学ぶ。さらに、身近な事例として、東京の都市の成長と計画的制御・誘導の関係、首都圏計画の変遷などを学び、いわゆる、広域都市計画論、都市圏計画の理論と実際、国土のグランドデザインについても触れたい。
     参考文献
    J・ゴットマン(木内信蔵・石水照雄共訳) 「メガロポリス」 鹿島出版会 1967年〈アメリカの東海岸のメガロポリスの成長をみる)
    A・トインビー(長谷川松治訳)『爆発する都市』社会思想社 1975年(地球上の都市化の必然性とその問題性を読み取る)
    川上秀光『巨大都市東京の計画論』彰国社 1990年(東京の巨大化の過程での都市計画の役割)
    石田頼房編 『大都市の土地問題と政策』日本経論社1990年(大都市問題の基底にある土地問題に対してどのような政策がうたれてきたか)
    大阪市立大学経済研究所編 『世界の大都市』シリーズ東京大学出版会1985年〜(東京、ロンドン、ニューヨーク、上海などを参照)
    藤森照信『明治の東京計画』 岩波書店 1982年(東京の近代都市への改造がどのように行われてきたかをみる)

    第7回 11月8日 都市・地域の計画理論の展開
    都市地域計画の世界において、計画、プランニングとは一体何なのであろうか。現代社会はある意味では計画化の社会であり、あらゆる分野で計画、プランニングの概念が存在するが、都市計画の計画、プランニングはその中でどのような特質を持っているのであろうか。都市・地域の計画理論の原理と方法、その変遷について論ずる。
    参考文献
      HaU, Peter Urban& Regional Planning TYIilpd Edition Allen&Unwm l992(1章 プロランニング、プランナー、プラン)
    日端康雄 都市計画におけるプランニングの理念と評価 計画行政 18(2)pp、17-221995(都市計画理論の変遷の中でプロトタイプをみる)
    犬久保昌一 『有機的都市論」都市文化社1989年(都市計画の理念とその構成の幅広い考え方を学ぶ)
    犬久保昌一 『都市論の脱構築」学芸出版社2002年(21世紀の新たな都市像と都市論構成)
    Faludi,Andreas PlanningTheory Pergamon Press 1975(青写真プラン、プロセスプランニングなどを参照)

    第8回 11月15日 都市のマスタープラン論
    1992年、日本の都市計画法において、きわめて画期的な法改正が行われた。それは、市町村が独自の都市計画のマスタープランを策定する責務があるとした規定である。日本の都市計画は伝統的に、国の機関事務という性格を継承されてきたために地方公共団体が独自にマスタープランをつくるという立場はなかったのである。日本の21世紀は地方分権の時代になり、都市計画は大きく変わろうとしている。マスタープランとは何か、都市のマスタープランの理論と経験、都市計画制度とマスタープランの関係などを論ずる゜
    参考文献
    KentJr.,T、J・ The Urban Geneml Plan Chandler Publishing Co、1964(アメリカの戦後初期のマスタープランの経験と理論を学ぶ)
    E・ベーコン(渡辺定夫訳)『都市のデザイン』 鹿島出版会 1968年(フイアデルフイア市の実践を学ぶ)

    第9回 11月29日 土地利用計画の技術
    都市空間を主題とする都市計画において、基本的な領域のひとつが土地利用計画である。都市のマスタープランもその基礎にあるのが土地利用計画であり、都市の過去現状将来を読み込んでどのような都市の物的構成を描きうるのか。用途地域や土地利用規制の根拠はどのように定められるのかを学ぶ。

    参考文献
    F・スチュアート・チエピン・ジュニア(佐々波秀彦・三輪雅久訳)『都市の土地利用計画』 鹿島出版会 1966年(アメリカの経験としての土地利用計画の体系を学ぶ)
    日笠 端 『土地問題と都市計画』 東京大学出版会 1981年(日本の土地問題、土地政策と土地利用計画の関連をを学ぶ)
    藤田宙晴『西ドイツの土地法と日本の土地法』 創元社 1988年(土地利用計画、地区計画レベルの法制度の違いを日独比較でみる)

    第10回 12月6日 再開発と都市空間構成
    再開発の事業の進め方を実際の現場の経験を踏まえて論ずる。とくに、各地の再開発事業の実例をふまえて、再開発プロジェクトの空間設計やデザイン面、制度技術的側面、合意形成と参加システムの側面、事業経営の側面などを取り上げる。

    第11回 12月13日 コミュニティの空間計画論
    われわれの都市の土地利用の多くは住宅地であり、そうした空間の計画は人間の生理生態や生活行動の原理に基づくものでなければならないと考えたのは19世紀末から20世紀初頭に欧米で活躍した社会改良家たちであった。今日のわれわれの都市はそうした価値論に基づく空間理論体系
    をもっている。そして、100年をこえる経験のなかで、一体何が受け入れられ、何が拒否されてきたのか、歴史的な系譜をみたい。
    参考文献
    佐々木宏 「コミュニティ計画の系譜』 鹿島出版会(都市計画におけるコミュニティ計画の変遷を学ぶ)
    クラレンス・アーサー・ペリー(倉田和四生訳)「近隣住区論』鹿島出版会   1975年(ペリーの近隣住区論の背景、根拠、技術をみる)
    渡辺俊一『アメリカ都市計画とコミュニティ理念」技報堂 1977年(アメリカ都市計画の鍵がコミュニティとされる状況をみる)

    第12回 12月20日 都市空間制御の理念と技術
    都市の土地利用を管理する技術の多くは19世紀末までに登場しており、先進工業国主体の発展をとげてきた。そうした都市空間のコントロールの枠組みとして、まず、ゾーニングの原理と発展、とくに日本の都市計画システムとゾーニングをとりあげる。ついで第二の都市空間制御の制度的技術として、詳細計画と計画許可、さらには、日本の都市計画システムと地区計画制度について論ずる゜
    参考文献
    日端康雄『ミクロの都市計画と士地利用」 学芸出版社 1988年( I部 土地利用制度としてのミクロの都市計画)
    日笠端ほか『21世紀の都市づくり−地区の都市計画一』 第一法規出版社   1993年〈日本の地区計画制度の経験とその反省を踏まえた新しい都市計画システムのありかたを学ぶ〉
    石田頼房『日本近代都市計画の百年』 自治体研究社 1987年(日本の都市計画の固有性をみる)
     柳沢厚・山島哲夫『まちづくりのための建築基準法集団既定の運用と解釈』 学芸出版社 2005年(日本の都市の建築的土地利用規制の考え方を学ぶ)

    第13回 1月17日 21世紀都市計画論の諸相
    20世紀の世紀末から都市計画のあり方をめぐって国際的な議論が盛んになっている。とくに、わが国は1990年のバブル経済崩壊以降、情報化の急速な展開とあいまって経済社会全体が大きな構造転換の過程に入っており、社会の根幹的な仕組みが大きく変わりつつある。そうした中で、都市計画はまちづくりという、より大きな枠組みの中でこれまでとは大きく変わろうとしている。
    環境共生、持続可能性、計画過程の参加、民営化社会、街並み論、総合計画の行政評価など、様々の角度から都市計画論が展開されており、新たな都市計画像を論じたい。

    また、半年間の講義を振り返りながら、この間の学生諸君の関心の深化を踏まえて、都市と都市計画、まちづくりのありようを議論してまとめとしたい。


4. 提出課題・試験・成績評価の方法など

     数回にわたって提出課題を出します。レポートは、 原則として、 A4版ハードコピーで提出する.
     成績評価の方法は、中間レポート:50、最終レポート:50を基準とします。
      その他必要に応じて履修上の注意を指示します。


5. 履修上の注意・その他

    履修条件については、別途指示する場合があるので、最初の授業でのガイダンスの内容や掲示等に注意してください。


6. 前提科目

    なし


7. 履修条件

    一級建築士受験資格認定科目なので留意すること。


8. 旧科目との関係

    なし


9. 授業URL


2007-09-05 11:26:29.525399


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