KGC


慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス
授業概要(シラバス)


国際比較法制論 (奥田 敦

    2007年度秋学期 火曜日4時限
    科目コード: 42100 / 2単位
    カテゴリ: 22.先端開拓科目-総合政策-国際戦略(学部)


1. 主題と目標/授業の手法など

    「イスラーム法 (シャリーア・イスラーミーヤ)」 について、 日本法あるいは西欧法との比較を念頭に置きながら、 その一般的な性質、 法源、 個々の法領域、 現代的な問題などを、アラビヤ語の専門用語の紹介・解説も積極的に行ないながら、 現代を代表するムスリム法学者の見解に依拠しつつ、概観していく。
    イスラーム法は、 現在13億とも17億ともされるイスラーム教徒の法である。イスラーム世界の現実を垣間見ればわかるように、この法は十分に守られているとは言えない。しかしながら、シャリーアは、本来的には、 国民国家あるいは主権国家を基本的な構成単位とすることなしに成立する法秩序であって、 民族や人種あるいは習慣や伝統の違いを乗り越える仕組みを有している。
    したがって、 イスラーム法についての正しい認識は、 イスラーム教徒の共同体およびその法が何を目指しているのか明らかにし、彼らの共同体およびその法のありように対する理解を正してくれる。さらに、全地球規模での公益を公平かつ公正に分配することが求められるこれからの国際社会の法を構築を考える上でもシャリーアの正しい理解は不可欠である。
    シャリーアが何であるのかにとどまらず、シャリーアを学ぶことによって自分たちの法や社会のかかえる問題や然るべき変化の方向性について考える機会になってくれればと思う。


2. 教材・参考文献

    奥田敦『イスラームの人権』慶應義塾大学出版会、2005年。
    各回ごとにレジュメを配布する。


3. 授業計画

    第1回 イスラーム法への招待
    なぜ、イスラーム法なのか。現実からの観察では捉えることの難しいイスラーム法を理解するための基本的な枠組みを提示しながら、イスラーム法研究の必須性と必要性を明らかにする。

    第2回 シャリーアとは
    アラビヤ語で「法」を表す4つの言葉、シャリーア、フィクフ、カーヌーン、フクムについて、それぞれの語義を明らかにするとともに、アッラーを立法者とするシャリーアとはいかなる法なのかを考察する。

    第3回 イスラーム法の法源論
    イスラーム法の構造上の特質に、法源論がある。聖典クルアーンと預言者ムハンマドの言行であるスンナを不易不動の法源とする法の構造を明らかにする。

    第4回 イジュティハードの必要性
    シャリーアに適った法発見の努力たるイジュティハードの構造的な必須性について考えるとともに、クルアーン、スンナのほか、イジュマーア、キヤースなど人間の側が法発見の際に用いる個々の法源について紹介する。

    第5回 イスラーム法の目的
    イジュティハードの際に欠かすことのできない、シャリーアは何を実現しようとしているのかという法の一般的目的について、その具体的内容である「福利」の概念を紹介しながら考察する。

    第6回 イスラーム法の一般的特質(1)
    イスラーム法とは何かをその一般的性質から明らかにする必要性を明らかにするととに、その第1の特質である「天啓性」について考える。

    第7回 イスラーム法の一般的特質(2)
    「倫理性」「事実性」について紹介する。

    第8回 イスラーム法の一般的特質(3)
    「人道性」「調和性」「包括性」について紹介する。

    第9回 イスラーム法の法領域(1)
    礼拝、喜捨、斎戒、巡礼といった、アッラーの僕としての行為である「イバーダート」について社会的効用を中心に考察する。

    第10回 イスラーム法の法領域(2)
    所有権、契約のシャリーア的基本を紹介するとともに、婚姻、相続などイスラーム諸国において現行法としても取り入れられている法領域についても紹介する。

    第11回 イスラーム法の法領域(3)
    シャリーアにおける、刑法、国際法、統治に関する法にかんしてその基本的な原則を明らかにするとともに、イスラーム圏における現行憲法とイスラーム法の関係についても考える。

    第12回 イスラーム法における人と人権
    イスラーム法における人間像を西側の法における人間像と比較しながら、イスラームにおける人権について考える。

    第13回 イスラーム法の現代的課題
    法と現実の乖離、イジュティハードの停滞、混乱などイスラーム法が抱える問題を指摘しながら、グローバル化時代の法としてのシャリーアのあり方を展望する。


4. 提出課題・試験・成績評価の方法など

    学期末の試験期間に論述による試験を行う。


5. 履修上の注意・その他

    講義中の飲食は厳に慎んで下さい。


6. 前提科目

    なし


7. 履修条件

    なし


8. 旧科目との関係

    「国際比較法制論A」「国際比較法制論B」「アメリカ憲法理論(院特設)」*これらの科目を進級、卒業あるいは修了に関わる科目の単位として修得済みの学生は、自由科目としての履修のみ可能。


9. 授業URL


2007-08-30 17:37:00.105694


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