KGC


慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス
授業概要(シラバス)


地方自治論 (浅野 史郎

    2008年度秋学期 火曜日3時限
    科目コード: 31030 / 2単位
    カテゴリ: 15.先端導入科目-総合政策-公共政策(学部)


1. 主題と目標/授業の手法など

    2005年11月まで、3期12年にわたり宮城県知事を務めた経験に基づき、地方自治の現場での問題点と今後の展望について、実証的に考察する。特に、国と地方との関係として、地方分権、道州制、市町村合併、自治体の財政破綻、地方議会の実態といった今日的課題について、詳しく論じる。
     地方自治の現場で何が起こっているか。例えば、夕張市はなぜ財政再建団体に転落したのか、宮崎県、滋賀県での県議会も巻き込んだ改革の実態などを考察しながら、現在の地方自治の問題点を探る。地方議会の実際、地方自治体職員の勤務状況、行政改革、市町村合併と道州制、三位一体改革の帰趨などについて、実際のありようを詳細に考察する。
     この授業においては、地方自治についての知識を切り売りするのではない。地方自治の実態を知ることにより、有権者・納税者としての住民が地方行政にどう関わっていくかを考える動機づけにしたい。「地方自治は民主主義の学校」と言われている。その「学校」での問題を自分自身で深めることによって、民主主義について深く考える契機になることを期待している。
     授業では、講師による基本的な事項についての講義のほかに、外部講師の参加を数回予定している。地方自治を舞台にした生々しい現場の声を届けることとしたい。


2. 教材・参考文献

      「疾走12年アサノ知事の改革白書」浅野史郎(岩波書店 06年5月)1800円
      「一番やさしい地方自治の本」平谷英明(学陽書房 06年7月)
      「地方分権改革」西尾勝(東京大学出版会 07年7月 2600円
      「新・地方分権の経済学」林宣嗣(日本評論社06年5月)2400円
      「市町村合併」佐々木信夫(ちくま新書 02年7月)700円
      「地方は変われるか」佐々木信夫(ちくま新書 04年6月)740円
      「自治体財政・破綻か再生か」高寄昇三(学陽書房 01年11月)2   000円


3. 授業計画

    第1回 9月30日 授業紹介ー地方自治とは何か
     地方自治が日本政治において持つ意味、地方分権がなぜ必要か。地方自治をめぐって、どのような懸案があるのか。地方自治全般について概観する。「地方自治は民主主義の学校」ということの意味をまず理解する。
     この内容が、これからの授業全体の目次としての役割を持つことになる。

    第2回 10月7日 夕張市はなぜ破綻したのかーその1
     夕張市が財政再建団体に転落した。そもそも、自治体が財政再建団体になるというのは、どういうことか。なぜ、夕張市は財政破綻といった状態に陥ったのかの軌跡をたどる。政治的な観点からは、市長の責任、市議会は事前に制御できなかったのか、市民の無関心はどうして生じたのかについの論じる。

    第3回 10月14日 宮崎県、滋賀県で起きていること
     宮崎県で東国原知事が誕生した背景には何があったのか。その後、新しい知事のもとで何が変わり、何が変わっていないのか。それより先に誕生した滋賀県の嘉田知事の「もったいない」の政策、新幹線新駅設置の見直しがもたらしたものは何か。07年の県議会議員選挙で起きた地殻変動はどうしてもたらされたのか。その背景を探る。

    第4回 10月21日 無党派・市民派議員大集合
     全国各地の地方議会で活躍する無党派・市民派議員が、SFCに大挙して現れる。それぞれのスピーチを通じて、ふつうの市民が議員になる意味、地方議会のあり方、選挙の苦労などを伝えてもらう。生の議員に対して、日頃の疑問、不満、期待などを学生諸君からもぶつけるいい機会になることを期待している。

    第5回 10月28日 市長の語る市政
     現職市長を外部講師にお招きし、市長として市政を進めることの醍醐味と悩みを語ってもらう。また、県政との関係における市政、国政との関係における市政の問題点も浮きぼりにしたい。市議会との関係にも触れることになる。

    第6回 11月4日 地方分権の意義
     三位一体改革とは何か。地方分権の論議の中で、納税者たる住民の果たす役割が軽視されている。ほんものの民主主義の実践としての地方分権の意義、補助金制度の功罪、税源移譲の意味、地方交付税の役割などについて、詳細に論じる。

    第7回 11月11日 地方自治体における福祉施策
     神戸市の社会福祉法人プロップステーションの竹中ナミ理事長を外部講師としてお招きする。障害者を the Challenged と呼び、ITを駆使しつつどのようにして「障害者を納税者に」変えていくか、そこに地方自治体はどう関わっていくかなどについて、熱くなるお話を聞きする。

    第8回 11月18日 市町村合併と道州制
     平成の大合併はどのように進められたのか。合併をする理由しない理由、合併して良かったのか悪かったのか。市町村合併の先には、道州制の導入の可能性がある。道州制とは何か、実現までにどのような問題があるのかについても考察する。

    第9回 12月2日 地方自治体職員の実態
     地方自治体の職員の身分、処遇、仕事ぶりはどうであるか。現職の地方自治体職員たちにより、自治体職員であることのやりがいと悩み、ホンネのところで語ってもらい、地方分権時代の自治体職員のあり方と問題点を探る。

    第10回 12月9日 地方自治体の影の部分ーその1官製談合
     2006年、官製談合に関わった疑いで三人の知事が逮捕された。官製談合とはそもそも何か。どういう背景があるのか。官製談合をなくする方策は何かについて考察する。

    第11回 12月16日 地方自治体の影の部分ーその2裏金問題
     本来の自治体の予算を不適正に事務処理することにより、裏金が作られる。1995年当時に多くの県において発覚し、再出発が図られた一方で、長崎県、岐阜県、宮崎県などで、新たな裏金問題が表面化している。さらには、警察における犯罪捜査報償費による裏金づくりなど、裏金問題の闇は深い。裏金問題の全容について、徹底究明する。

    第12回 1月6日 地方自治の将来ーまとめ
     これまでの考察をまとめつつ、これからの地方自治のあるべき姿と、それに対応する中央政府のあり方について概観する。

    第13回 1月20日 試験
     学期末試験を実施する。


4. 提出課題・試験・成績評価の方法など

     学期末の最終授業時間中に、試験を実施する。
     


5. 履修上の注意・その他

     授業は、毎回、13:00定時に開始します。開始時間に遅れないように出席すること。毎回、ごく簡単な宿題を課します。次回授業で数人に宿題の回答をしてもらいますが、その際、最後列に坐っている学生を指名します。


6. 前提科目

    なし


7. 履修条件

    特になし


8. 旧科目との関係

    「地方自治の制度と運営」*この科目を進級、卒業あるいは修了に関わる科目の単位として修得済みの学生は、自由科目としての履修のみ可能。


9. 授業URL


2008-08-22 21:10:41.518563


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