KGC


慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス
授業概要(シラバス)


フィールドワーク法 (加藤 文俊

    2008年度春学期 月曜日2時限
    科目コード: 14030 / 2単位
    カテゴリ: 10.創造技法科目-ナレッジスキル(学部)


1. 主題と目標/授業の手法など

    「フィールドワーク法」は、社会や文化を知るためのひとつの手段です。したがって、「技法」としての実践的な意味が重要であることはいうまでもありませんが、じぶん自身で「問題」を定義するという「ものの見方」や、調査・分析の結果を解釈し表現するという「コミュニケーション」の問題とも密接に関わっています。この授業では、“フィールドワーク”や“インタビュー”に代表される質的(定性的)な調査方法について学びます。

    今学期の「フィールドワーク法」では、相互に関連する3つのテーマについて取り組むことになります。

    【1 フィールドワークをおこなう】
    入門的な性格や時間的な制約を考慮し、あらかじめ“フィールド(現場)”を指定します。各自(またはグループ)でテーマを設定し、学期をつうじて“フィールドワーク”や“インタビュー”などをすすめ、調査レポートをまとめます。キャンパスの外に出て、まちを歩いたり、写真やビデオを撮ったり、人に話を聞いたり、まずはじぶんの目で見ること・じぶんのカラダで感じることが重要です。

    【2 観察・記録のあり方について考える】 
    また、さまざまなメディア機器の活用と観察・記録・分析方法との関連について考えます。それは、じぶんで見たこと・感じたことをどのように「調査報告」として整理し表現するかという問題です。「フィールドワーク法」とよばれる一連の方法が、デジタルメディアを前提としたとき、どのように変わりうるのかについて考えることも重要なテーマとなります。
    とくに、「フィールドノート」のための“装備(gear)”として、調査者であるじぶんを意識するための方法として、カメラ付きのケータイをつかった実験をおこなう予定です(カメラ付きケータイを使っているひとの履修を受け入れます)。あたらしい「フィールドワーク法」のあり方について実験を試みる、やわらかい発想や創造力・想像力のある学生を歓迎します。

    【3 社会活動としての社会調査をデザインする】
    ただ調査をおこなうばかりでなく、何らかのかたちでメッセージを発信できるような、ひとつの「社会活動」としての調査のあり方についても考えます。「社会活動」として調査(フィールドワーク)を理解するとき、どのような課題(可能性や限界)があるのか…。具体的なことは未定ですが、可能であれば時間割の時間外に全員でおなじ〈現場〉に出かけて、こうした問題について実践的に考えてみるつもりです。


2. 教材・参考文献

    下記は参考文献です。必要に応じて、クラスで資料や文献リストを配布します


    ・海野弘(2004)『足が未来をつくる:〈視覚の帝国〉から〈足の文化〉へ』(洋泉社)
    ・桜井厚(2002)『インタビューの社会学:ライフストーリーの聞き方』(せりか書房)
    ・佐藤郁哉(2002)『フィールドワークの技法:問いを育てる、仮説をきたえる』(新曜社)
    ・佐藤郁哉(1992)『フィールドワーク』(新曜社)
    ・ジョン・ヴァン=マーネン(1988)森川渉(訳,1999)『フィールドワークの物語:エスノグラフィーの文章作法』(現代書館)
    ・箕浦康子(編著)(1999)『フィールドワークの技法と実際:マイクロ・エスノグラフィー入門』(ミネルヴァ書房)
    ・好井裕明(2006)『「あたりまえ」を疑う社会学:質的調査のセンス』(光文社新書)


3. 授業計画

    第1回 (4/14)オリエンテーション
    ・授業概要の説明
    ・すすめ方について

    第2回 (4/21)質的(定性的)調査の考え方
    ・質的(定性的)調査とは
    ・課題の説明
    ・ケータイによるデータ収集(テスト)

    第3回 (4/28)フィールドワークについて(1)
    ・リサーチ・リテラシーをめぐる問題について

    第4回 (5/12)フィールドワークについて(2)
    ・メディアと社会調査
    【課題1】講評

    第5回 (5/19)写真を撮る・写真を読む
    ・記号論的に“フィールド”を読む
    ・問題意識をまとめるにあたって
    【課題2】講評

    第6回 (5/26)視点・視座・視野について
    ・データの整理/データの分類と配列(グループワーク)
    【課題3】講評

    第7回 (6/2)分類と配列について
    【課題4】講評

    第8回 (6/9)中間報告

    第9回 (6/16)フィールドワークついて(3)
    ・社会活動としての社会調査
    【課題5】講評

    第10回 (6/23)「社会調査」の限界と可能性
    ・フィールドからの離脱
    ・関係性の維持
    【課題6】講評

    第11回 (6/30)成果の公開
    ・成果の公開とふり返り
    ・表現の方法
    【課題7】講評

    第12回 (7/7)モバイルリサーチ
    ・データ収集の可能性
    ・フィールドワークの継続

    第13回 (7/14)最終プレゼンテーション
    ・最終発表


4. 提出課題・試験・成績評価の方法など

    出席・ミニ課題(7回+)・調査レポート・フィールドノート・授業中のグループワーク・授業態度などで総合的に評価します。“フィールドワーク”や“インタビュー”のために部屋の外に出かけることになるので、“現場”を大切にしながら、頭もカラダも動かすことが求められます。グループで課題に取り組む場合もあるので、コラボレーションの意味・意義については各自で考えながらすすめてください。

    学期をつうじて、(個人またはグループで)“フィールドワーク”に取り組むことになります。レポートは、企画書〜中間レポート〜最終レポートという流れで、徐々に仕上げていきます。最終的な「成果」はもちろん重要ですが、段階的に調査レポートを作成していく「プロセス」も評価します。詳細については授業時間に説明します。

    (1)企画書:どのようにフィールドワークをすすめるか、できるだけ具体的な計画を立てて企画書としてまとめます。
    (2)中間レポート:企画書を提出後、何度か“フィールド(現場)”へ出かけて観察・記録をおこない、経過報告をまとめて発表します。
    (3)最終レポート:引き続きフィールドワークをすすめ、中間レポートに加筆・修正をおこない、最終レポートを完成させます。
    (4)発表会:履修者数やスケジュール調整等で可能であれば、最終回(あるいは12・13週の2回分)は、フィールドワークの成果の発表会にあてたいと考えています。
    (5)ふりかえり:フィールドワークをふりかえり、じぶん自身の活動を評価します。


5. 履修上の注意・その他

    近年、“フィールドワーク”ということばが一般的に使われるようになりましたが、“フィールドワーク”においては、地道に観察・記録をおこなうこと、時間をかけてデータの整理や解釈を試みることが重要です。つまり、知識を生成するための“技法”としてのトレーニングには(それなりの)時間とエネルギーが必要なのです。また、メディア(たとえばカメラ付きケータイ)を活用したあたらしい調査方法について考える、“実験するマインド”も要求されます。2007年度春学期の「フィールドワーク法」は、下記をすべて満たすことが履修条件です。
    ・カメラ付きケータイをつかっているひと
    ・出席するひと
    ・授業時間外のフィールドワークに時間・エネルギーを使うことができる(つもりがある)ひと


6. 前提科目

    なし


7. 履修条件

    なし


8. 旧科目との関係

    なし


9. 授業URL


2008-03-01 07:57:03.172721


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