KGC


慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス
授業概要(シラバス)


宗教と現代社会 (奥田 敦

    2009年度春学期 金曜日4時限
    科目コード: 32190 / 2単位
    カテゴリ: 16.先端導入科目-総合政策-国際戦略(学部)


1. 主題と目標/授業の手法など

    イスラームの教えを軸に宗教と現代社会の問題を考えていく。先入観や偏見にとらわれない、イスラームに対する包括的な理解を深め、その教えの基本を念頭におきながら、さまざまな角度から、宗教、社会、国家、民族、個人、経済、文化、思想、人権、戦争、科学、芸術などの問題を扱いたい。
    それは、グローバル化時代に生きるわれわれにとって、人類全体に向けられた教えとしてのイスラームの意義を探り、それを人類社会の未来に対して積極的に生かしていく方途を探ることでもある。アラビヤ語の用語の紹介など行いながらも、決して専門的になりすぎないよう初学者を対象にすることを念頭に置きながら、講義を進めていきたい。


2. 教材・参考文献

    奥田敦『イスラームの人権』慶應義塾大学出版会、2005年。
    それ以外については、適宜紹介していく。


3. 授業計画

    第1回 宗教について
    スピリチュアルブームの一方で、宗教というと遠ざける人が多い。しかし、そうした場合に「宗教」と目されているものの多くは、もっとも「宗教」からは遠い。宗教と科学の相補性についても着目しながら、このパラドクスについて考える。

    第2回 アラビヤ語という言語
    イスラームを論じるときにはずすことのできないアラビヤ語。この言語の重要性と特徴、そして学習の効用について紹介する。

    第3回 オリエンタリズムとイスラーム
    イスラームはなぜ正しく理解されないのか。オリエンタリズムとその変容、イスラーム社会の抱えた問題、あるいは日本人の宗教理解にも触れながら、考察する。

    第4回 イスラームとは何か
    イスラームとは何か。一神教の完成形態としてのイスラームについて、ユダヤ教、キリスト教徒の比較も交えながら、明らかにする。

    第5回 「報われる」ということ
    アラビヤ語で宗教を表す「ディーン」という言葉からはじめて、宗教の意味について考える。イスラームだけが宗教ではないし、「宗教がない」ことは「宗教心のないこと」まで意味しないなどについても考察する。

    第6回 神について考えてみる
    神が一つとはどういうことなのか。宇宙もまたその中のすべての存在も創造したとされるアッラーについて考える。一神教と多神教の関係についても明らかにしたい。

    第7回 見えるもの・見えないもの
    グローバル化の時代における宗教の重要性について、特に思想的な側面から明らかにする。宗教が文化の一部ではなく、文化が宗教の一つの現われであることについても解説する。

    第8回 学術文化交流の意義
    SFCが中心になって行っているアラブ・イスラーム圏との学術文化交流について紹介しながら、その意義について考察する。

    第9回 ラマダーンの心
    人はなぜ断食をするのか。世界13億人のイスラーム教徒がともにイスラーム暦の第9月に行う斎戒(サウム)について、個人から社会にいたるまでの効用を紹介しながら、セーフティーネットの自律的形成をなす宗教的な教えの実践について考える。

    第10回 アレッポ石鹸は語る
    アレッポ石鹸について、原料のオリーブから、石鹸棟梁の心、さらには、貧者に配られるザカーとしての性質までをも含めて、石鹸から見たイスラーム社会論を展開する。

    第11回 人間と動物の間
    人間とは何か。そして動物との違いは何か。人間らしさについてイスラーム的な観点から考察していく。

    第12回 ジハードとは何か
    正しいジハードの実践は、社会の平和力を引き出すことを明らかにしていく。ジハード=テロリズムという図式を徹底的に検証する。

    第13回 ともによく生きるとは
    民族や国籍、文化や伝統の違いを乗り越えた人類全体としての「われわれ」がいかに成立するのかについて考えていく。それは、グローバル化時代において、言葉の正しい意味での「宗教」とその役割について明らかにすることでもある。


4. 提出課題・試験・成績評価の方法など

    学期末の試験期間に筆記試験を行う。


5. 履修上の注意・その他

    講義時間中の飲食は禁止します。


6. 前提科目

    なし


7. 履修条件

    なし


8. 旧科目との関係

    なし


9. 授業URL


2009-03-07 04:04:10.324976


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