KGC


慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス
授業概要(シラバス)


政策過程論 (草野 厚

    2009年度春学期 火曜日3時限
    科目コード: 41020 / 2単位
    カテゴリ: 21.先端開拓科目-総合政策-公共政策(学部)


1. 主題と目標/授業の手法など

    政策の実施過程のとらえ方について学習し、公共政策の政策過程に関する事例研究を実践できる能力を育成します。
    なぜ、政府(中央、地方)や企業は、理想とする政策を決め、実施することができないのだろう。なぜ、それらは、考えられないようなミスを犯し、当初予定していたような 政策上の目標を達成することができないのだろう。こうした疑問に応えるのが、本講義の目標です。たとえば、経済学上どれほど合理的であろうとも、既に既得権益をもっている人々や組織の抵抗で、なかなか、望ましい決定がなされないということは、いくらでもあります。
     五年五ヶ月にわたり続いた小泉内閣ですが、特筆されるべきことは、そうした抵抗を排除して、いくつもの改革のきっかけを作ったことです。その意味では、小泉内閣で改革がどうして不十分との批判はあれ進んだのか解明することは重要です。授業では、外交政策を含め各種政策や、事故などを対象とし、実際に政策過程を分析するツールを提供します。最後には、みなさんの財産となるような事例研究のレポートを仕上げてもらいます。 なお、下記の授業計画は、三月現在のものであり、変更の可能性があります。


2. 教材・参考文献

    草野厚 政策過程分析入門 東京大学出版会 
    草野厚 政策過程分析の最前線 慶應大学出版会
    草野厚 官僚組織の病理学 ちくま新書
    草野厚 解体・国際協力銀行の政治学 東洋経済新報社
    それ以外にも、参考図書や記事を紹介


3. 授業計画

    第1回 講義の目的と手法
    政策過程論とは何かを含め、このクラスの狙いを説明する。政策決定や実施は難しく考える必要はない。日々、受講生諸君も、それを繰り返している。ここでは、政府レベルを中心とした決定や実施を中心に扱う。最終レポートについては、通常のレポートとは異なる点を理解してもらうように説明したい。本年出版の予定の、「政策過程分析有用性の再確認」も用いたい。

    第2回 巨大組織、末端の決定と実施を学ぶ
    巨大組織の末端では、日々、小さな決定と実施が行われている。しかし、必ずしも、組織が本来、目指した目的に沿って、行われているとは限らない。その場合、重大事故を含め、思わぬ事態を引き起こすことがある。実際に起きた二つの事例で、その実態を理解する。

    第3回 政策過程の定義
    日本の政策過程に関する四つの事例を使って、具体的に、政策過程とはどのようなものかを、具体的に理解したい。主として政策に関するものをとりあげるが、事故や災害にに対する対応も、前回に続きとりあげる。

    第4回 政策決定ゲームとプレゼン
    これまでの三回の授業で詳しく説明した政策過程論の目的を踏まえ、実際に、具体的な政策決定を、ゲームとして行ってもらう予定。

    第5回 政治学的分析と歴史的分析それに合理的政策決定モデル
    政策過程分析は政治学の一つに位置するが、類似の分析手法として歴史的分析がある。その違いはどのようなものかは理解しておく必要がある。後半では、いよいよ、分析の枠組みとしてのモデルについて触れる。ここでいうモデルというのは、自然科学におけるモデルほど精緻なものではないことは
    強調しておく必要があるだろう。

    第6回 キューバ危機を事例としたモデルの説明
    1962年10月、世界を震撼させたキューバ危機が起きた。この事件について、米国政府、ソ連政府に焦点をあてながら、なぜ、ソ連はミサイルをキューバに持ち込んだのか、なぜ、米国は海上封鎖で対応したのか、なぜ、最終的にソ連はミサイルを撤去したのかについて分析したのは、グレアム・アリソンである。授業では、この回から数回にわたり、彼のモデルを説明する。まずは、事件の概要を理解するために、NHKスペシャルを鑑賞する。

    第7回 キューバ危機とアリソンモデル
    前回に引き続きアリソンモデル、事件の概要の整理。

    第8回 キューバ危機とアリソンモデル
    前回に引き続きアリソンモデル、特に合理的政策決定モデル。

    第9回 キューバ危機とアリソンモデル
    前回に引き続きアリソンモデル、特に組織過程モデル。

    第10回 組織過程モデルをさらに理解する
    前回に引き続き組織過程モデルを、別の事例で確認する。

    第11回 昨年のレポートを振り返る
    最終レポートに参考になる、昨年のレポートを紹介する。
    時間があれば、アリソンの第三番目のモデル、官僚政治モデルの
    説明に入る。

    第12回 キューバ危機とアリソンモデル
    キューバ危機に戻り、官僚政治モデルを紹介する。ついで、その他のモデルも、紹介する。

    第13回 政策決定と実施
    政策過程は決定と実施の過程からなる。ここでは、いかに、実施が重要かを
    具体例で紹介する。たとえば、定額給付金の支給を政府が決めたあと、実に、実際の給付がはじまるまで、どのような経緯をたどったかを考えるだけで、実施の部分が重要であるかがわかるであろう。


4. 提出課題・試験・成績評価の方法など

    講義期間中に、関連図書の感想文の提出が一回、確認のための小テストが一回(実施しない可能性もあり)。それらに加え、最終レポート及び日表の作成。何回かとる出席点。


5. 履修上の注意・その他

    日頃から、内外のニュースに関心を持って出席してほしい。
    たとえば、定額給付金がどのような経緯で配布されることになったのか。イージス艦事故が、この授業とどのような関係にあるかなど関心があることがのぞましい。また、以下の授業計画はあくまで、計画であり、変更の可能性があることを承知のうえで履修してほしい。さらに、履修予定者は、博士課程の庄司君が教育体験として、三回授業を行うことを了解したうえで履修してください。博士号取得の要件となっており、すぐれた授業が期待されています。もちろん、私も立ち会います。


6. 前提科目

    なし


7. 履修条件

    ありませんが、新聞を丹念に読むように心がけてください。


8. 旧科目との関係

    「政策過程論I」*この科目を進級、卒業あるいは修了に関わる科目の単位として修得済みの学生は、自由科目としての履修のみ可能。


9. 授業URL


2009-03-10 21:02:15.666666


Powered by SOI Copyright(c) 2002-2018, Keio University Shonan Fujisawa Campus. All rights reserved.
このサイトの著作権について