KGC


慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス
授業概要(シラバス)


現代文化探究 (奥田 敦

    2009年度秋学期 金曜日4時限
    科目コード: 42110 / 2単位
    カテゴリ: 22.先端開拓科目-総合政策-国際戦略(学部)


1. 主題と目標/授業の手法など

    イスラーム神学の基本原理を学びながら、イスラーム圏を読み解くための新しい方法論の構築を模索すると同時に、イスラーム的視点から眺めたときのイスラーム圏についていくつかの具体例を提示する。
    イスラーム圏に対する理解は、 表層的でステレオタイプ化されたイメージや言説の域を出ないことが多く、しかも、イスラーム圏では「現実」と「真実」の間にも大きな乖離があり、その実相がなかなか捉えられない。
    こうした状況を是正するために、 この講義では、 イスラームの教えそれ自体から方法論を導き出すという立場から、イスラーム神学の基本的な教理を紹介しながら、 今なお拡大を続けるイスラーム圏を理解するための最適な方法論を構築していく。
    また、法学からの方法論構築についても適宜触れながら、 近代化、 グローバル化の波及によってこの地域に現われた現代的な問題についても言及して、 イスラーム世界に対する理解を深めたい。
    「彼らが何者であるかを明らかにするのではなく、彼らとともに何者になることによって、われわれと呼び合える関係になりうるのか」を考える契機になればと思う。


2. 教材・参考文献

    『フサイニー師「イスラーム神学50の教理」タウヒード学入門』(奥田敦訳・著)慶應義塾大学出版会、2000年。
    奥田敦『イスラームの人権』慶應義塾大学出版会、2005年。
    『「正しい戦争」という思想』勁草書房、2006年。
    『法と身体』国際書房、2004年。


3. 授業計画

    第1回 イスラーム世界をどう向き合うか
    イスラームの3層と、イスラームの教えの3つの柱、宗教と文化の関係などを明らかにしながら、イスラーム世界との向き合い方について考える。

    第2回 イスラーム神学の基本的概念
    なぜイスラーム神学からはじめるのかを明らかにしながら、イスラーム神学の基本概念を紹介する。

    第3回 アッラーについて(1)
    アッラーが存在するとはどういうことなのかを中心に、アッラーの属性を紹介する。

    第4回 アッラーについて(2)
    アッラーが一つであるというどういうことなのか、アッラーは何を行うのかを中心に、アッラーの属性を紹介する。

    第5回 クルアーンについて、預言者について
    クルアーンとはいかなる書物なのか。メッカ啓示の中からいくつかの章を取り上げて、タウヒードの世界を垣間見る。

    第6回 天使と人間
    天使はなぜ人間に祈るのかを中心に天使について考えながら、また、ラッバーニーヤとインサーニーヤの対比から、人間とは何者であるのかについて考える。

    第7回 アラブ人が語るアラブ諸国
    奥田敦研究会の活動の一環である「アラブ人学生歓迎プログラム(ASP)」にて来日中のアラブ人学生6名(予定)の一人一人に自分の国について語ってもらう。質疑応答の時間も設けたい。

    第8回 ジハードとテロリズム
    イスラームの教えにおける本来的なジハードが、いわゆるテロリズムとは対極のものであることを明らかにする。

    第9回 イスラーム金融とフェアトレード
    イスラーム経済の在り方について、グローバル化下におけるイスラーム金融とフェアトレードとの対比から、その包括性、循環性を明らかにする。

    第10回 シリアのイスラーム(1)
    第10回と11回は、政策メディア研究科博士課程の学生による教育実習授業。シリアのムスリム社会に関する「豊かさ」についてイスラームの教えも踏まえながら、その研究の最前線を伝える。

    第11回 シリアのイスラーム(2)
    一見豊かに見えるシリアのアレッポだが、深刻な貧困問題を抱える。そうした問題の解決に向けた新しい慈善活動の動きをフィールドワークの成果とともに紹介する。

    第12回 言葉の絆、人間の絆
    クルアーンの言語観を中心に、アラビヤ語の媒介性について考える。

    第13回 死と自由
    来世や神慮・天命との関係も踏まえながら、人間の自由について考える。イスラーム教徒はなぜ自殺をしないのか、イスラームにおける臓器移植の問題についても考えたい。

    第14回 内面的倫理的イスラームの台頭
    インドネシアからセネガルに至るまでのイスラーム圏の中から、新しい世代に見られるイスラーム台頭の実情を紹介しながら、今後のイスラームの在り方を展望する。

    第15回 愛と慈愛
    アッラーのために人を愛するとはどういうことなのか。愛と対比しながら、慈愛のありようを明らかにし、現代社会のとっての意義を考える。


4. 提出課題・試験・成績評価の方法など

    学期末の試験期間に論述を中心とした試験を行う。


5. 履修上の注意・その他

    授業中の飲食は厳に慎んでください。
    授業には、イスラームからのアラビヤ語による概念が多数出てきますが、講義は日本語で行いますので、アラビヤ語未履修者でも十分履修できます。


6. 前提科目

    なし


7. 履修条件

    なし


8. 旧科目との関係

    なし


9. 授業URL


2009-08-31 17:21:12.449216


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