KGC


慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス
授業概要(シラバス)


憲法(人権) (柳瀬 昇

    2010年度秋学期 月曜日5時限
    科目コード: 31040 / 2単位
    カテゴリ: 15.先端導入科目-総合政策-公共政策(学部)


1. 主題と目標/授業の手法など

     この講義は、日本国憲法の解釈論を通じて、legal way of thinking(法的なものの考え方)を涵養することを目的とするものである。
     憲法の規定する人権と統治機構の枠組みを理解することは、これから社会や人間を深く学んでいこうとする学生にとって、きわめて有益なことである。
     特に、これから公共政策について考えていこうとする学生にとっては、憲法は必ず学ばなければならないものの1つである。なぜならば、法治国家であるわが国の公共政策の多くは法令に基づいて遂行されるが、全法秩序の最上位の法規範が憲法であるため、憲法に違背する公共政策はありえず、その意味で、憲法なくして公共政策を語ることができないからである。しかも、憲法は、国や地方公共団体の公務員試験の受験科目でもある。
     憲法は、すべての実定法の基礎法であるので、これから法学をより詳しく学びたいと考えている学生はもちろん、いかなる専門分野に進もうとする学生も、自律的な市民生活を営むうえでの基礎的素養として、しっかりと理解してほしい。なぜならば、我々は法令と無関係に社会生活を営むことはできないが、すべての法令は、憲法の範囲内で、憲法の定める方法に基づき制定されているからである。
     この講義では、日本国憲法の標準的な憲法解釈論の基礎を、概括的に、かつ、平明に講述する。必要に応じて、諸外国の憲法理論との比較も行う。
     内容としては、憲法総論及び人権論の順に講義を行う。統治機構論については、別に「憲法(統治)」という講義が設けられているので、この講義では扱わない(それぞれ完結した内容をもつ科目であるので、単独で受講することもできるが、憲法の全体像を理解するためには、合わせて受講することが望ましい)。


2. 教材・参考文献

     教科書は指定しない。毎回、授業担当者の作成したレジュメを配布する。レジュメのほかに資料を配布することもある。
     憲法を学ぶにあたって有用な概説書や参考書等については、第1回の講義において説明する。
     どの出版社のものでもかまわないので、六法は、必ず携行されたい。


3. 授業計画

    第1回 憲法を学ぶ意義
     この講義の趣旨・内容や授業担当者の基本的な考え方などを説明したうえで、憲法を学ぶ意義、憲法の概念、憲法規範の特質などについて検討する。この講義を履修登録しようと考えている学生は、必ず第1回目の講義に出席されたい。

    第2回 日本国憲法の基本原理
     日本国憲法の意義、三大原理(国民主権主義、平和主義、人権尊重主義)、補助的原理(権力分立、法の支配、法治主義)などについて検討する。

    第3回 憲法と人権の限界(1)
     人権享受の主体適格性(外国人や法人など)について検討する。

    第4回 憲法と人権の限界(2)
     特殊な法律関係における人権保障(一般職公務員、刑事施設被収容者)と、憲法の私人間効力(第三者適用)について検討する。

    第5回 幸福追求権
     日本国憲法13条に定める幸福追求権と、そこから導出される新しい人権について検討する。

    第6回 法の下の平等
     日本国憲法14条に定める法の下の平等の意義について、事例に触れつつ検討する。

    第7回 内心の自由
     日本国憲法が保障する精神的自由権のうち、思想・良心の自由(19条)、信教の自由とその制度的保障としての政教分離原則(20条)、学問の自由とその制度的保障としての大学の自治(23条)について検討する。

    第8回 表現の自由
     日本国憲法21条について論ずる。具体的には、表現の自由の価値・射程・内容、事前抑制・検閲の禁止、集会・結社の自由の3つについて検討する。いわゆる二重の基準論について詳述する。

    第9回 財産の自由
     居住・移転の自由(日本国憲法22条1項前段、2項)、職業選択の自由(22条1項後段)、財産権の保障(29条)の3つについて検討する。いわゆる規制目的二分論について詳述する。

    第10回 身体の自由
     法定適正手続の保障(日本国憲法31条)と、その他の憲法に定める刑事手続上の権利(33条〜39条)について検討する。この回では、死刑制度の存廃論と裁判員制度の意義について、時間の許す限り、考えてみたい。

    第11回 国家による自由
     生存権(日本国憲法25条)、教育を受ける権利(26条)、勤労の権利(27条)と労働基本権(28条)について検討する。請願権(16条)、国家賠償請求権(17条)、裁判を受ける権利(32条)、刑事補償請求権(40条)などの国務請求権についても言及する。

    第12回 国家への自由
     参政権(日本国憲法15条)と近代選挙法の原則について検討する。議員定数不均衡の問題は、この回で取り上げる。

    第13回 日本国憲法の生成と展開
     総括に代えて、日本国憲法の生立ちと行方について、受講者とともに展望する。


4. 提出課題・試験・成績評価の方法など

     成績評価は、期末に行う筆記試験(100点満点、記述及び短答式)を中心に、授業時間中に適宜行う小テストの得点等を加味して、総合的に判断する。自発的にレポートを作成し、提出した学生については、適宜、加点する。
     まじめに授業に取り組む学生に対しては、よい評点を与えることを約束するが、受講態度が良好でない者には、相応の評点を付与する。
     SFCにおける成績評価のガイドラインに従い、おおむね、受講者の上位20%の者をA、上位20%に至らない合計得点70点以上の者をB、60点以上の者をC、60点未満の者をDとする。


5. 履修上の注意・その他

     予習は必要ないが、その代わりに、必ず講義に出席し、復習に努めてほしい。講義の進行を妨げるような遅刻・早退は、厳に慎まれたい。
     この講義を履修登録しようと考えている学生は、必ず第1回の講義に出席されたい(第2回以降からの参加は、推奨しない)。
     期末試験終了後は、進級や卒業を理由とする場合も含め、成績評価に関する陳情等を一切受け付けない。
     授業に関する質問や学生生活上の相談は、授業時間後に受け付ける。
     月曜日代替日の1月14日(金)には講義を行わず、その代わりに、12月18日(土)に補講を行う。


6. 前提科目

    なし


7. 履修条件

    なし


8. 旧科目との関係

    「国家と法A」「国家と法」*これらの科目を進級、卒業あるいは修了に関わる科目の単位として修得済みの学生は、自由科目としての履修のみ可能。


9. 授業URL


2010-08-16 15:59:03.183933


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