KGC


Keio University Shonan Fujisawa Campus
Course Summary (Syllabus)


REGION AND SOCIETY (AMERICAS) (Junichi Yamamoto

    Semester : 2010 Fall
    Code : 32150 / 2 Credits


1. Objectives/Teaching method

    南北アメリカ大陸は広大で、多様性に富む地域である。北はアングロアメリカ、南はラテンアメリカ、さらに後者は、先住民との混血が進んだ地域(インディオ的ラテンアメリカ)、先住民を排除した地域(ヨーロッパ的ラテンアメリカ)、先住民を抹殺し、アフリカからの奴隷とヨーロッパが混淆した地域(カリブ海地域)に分けることができる。だが、近年はグローバリゼーションの進展にともなって、地域統合や移民による接触・交流・摩擦が高まっている。そこで本科目では、グローバル化時代の均質化や格差化によってもたらされている当該地域社会の問題や矛盾そして未来への可能性を、映像および担当者の体験を交えて紹介、議論する。
    具体的なスケジュールは授業計画に示すが、テーマ別に以下の4つのクールに分ける。
    1) グローバリゼーションとラテンアメリカとアメリカ合衆国
    2) 米国と日本の関係
    3) ラテンアメリカの社会問題と革命家
    4) 日本とラテンアメリカ
    課題は、.ールごとのリアクションペーパー(1000字程度)、∈能課題として、本科目と関連する文献または映像いずれかに関する書評または映画評1本(4000~5000字程度)、授業評価・改善案である。なお、書評(映画評)は(読書)感想文や要約ではない。取り上げた文献や映画の概要を紹介したのち、他の関連文献(関連映画)と比較しつつ、自分の視点から批評、評価しなければならない。


2. Materials/Reading List

    必読文献は、西川長夫(2001)『増補 国境の越え方――国民国家論序説』平凡社ライブラリー、山本純一(2004)『メキシコから世界が見える』集英社新書、山本純一(2009)「書評・北野収著『南部メキシコの内発的発展とNGO―グローカル公共空間における学び・組織化・対抗運動』」『アジア経済』第50巻第8号である。各回の参考文献については、授業計画を参照。また、講義資料は授業前日までにグローバルキャンパス(http://gc.sfc.keio.ac.jp)もしくは山本純一研究会HP(http://web.sfc.keio.ac.jp/~llamame/)の担当科目のサイトにアップしておく予定なので、こちらから入手すること。原則として授業では配布しない。


3. SCHEDULE

    #1 第1クール グローバリゼーションとラテンアメリカとアメリカ合衆国  (9月30日) アメリカ大陸にとってのグローバリゼーションと南米左派政権
    授業の進め方をオリエンテーションしたのち、私たちが生きている時代の文脈と考えられるグローバリゼーションとネオリベラリズム、さらにはこのネオリベラリズムに反対している南米左派政権について論ずる。
    参考映像:「新大陸征服の野望」
    参考文献:
     西川長夫(編)『ラテンアメリカからの問いかけ―ラス・カサス、植民地支配からグローバリゼーションまで』人文書院、2000年
    E・オゴルマン(青木芳夫訳)『アメリカは発明された―イメージとしての1492年』日本経済評論社、1999年
    E・ガレアーノ(大久保光夫訳)『収奪された大地―ラテンアメリカ500年』藤原書店、1991年
    トドロフ、ツヴェタン(1986)『他者の記号学――アメリカ大陸の征服』(及川・大谷・菊地訳)法政大学出版局
    遅野井茂雄・宇佐見耕一編『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』アジア経済研究所、2008年
    伊藤千尋『反米大陸―中南米がアメリカにつきつけるNO!』集英社新書、2007年
    吾郷健二『グローバリゼーションと発展途上国』コモンズ、2003年
    内橋克人・佐野誠編『ラテン・アメリカは警告する―「構造改革」日本の未来』新評論、2005年
    後藤道夫『収縮する日本型<大衆社会>――経済グローバリズムと国民の分裂』旬報社、2001年
    ジョヴァンニ・アリギ『長い20世紀―資本、権力、そして現代の系譜』作品社、2009年
    二宮厚美『現代資本主義と新自由主義の暴走』新日本出版社、1999年
    橋本努『帝国の条件―自由を育む秩序の原理』弘文堂、2007年
    ハーヴェイ、デヴィッド『新自由主義――その歴史的展開と現在』(渡辺治監訳)作品社、2007年
    山本純一『メキシコから世界が見える』集英社新書、2004年
    A・G・フランク(山下範久訳)『リオリエント―アジア時代のグローバル・エコノミー』藤原書店、2000年
    西川長夫『増補 国境の越え方――国民国家論序説』平凡社、2001年
    A・アパデュライ(門田健一訳)『さまよえる近代―グローバル化の文化研究』平凡社、2004年
    J・トムリンソン(片岡信訳)『グローバリゼーション―文化帝国主義を超えて』青土社、2000年
    ―――(片岡信訳)『文化帝国主義』青土社、1997年
    G・リッツァ(正岡寛司訳)『マクドナルド化する社会』早稲田大学出部、1999年
    ―――『マクドナルド化の世界―そのテーマは何か?』早稲田大学出版部、2001年
    S・ハンチントン(坪郷實他訳)『第三の波―20世紀後半の民主化』三嶺書房、1995年
    梶田孝道(編)『第2版国際社会学―国家を超える現象をどうとらえるか』名古屋大学出版会、1996年
    R・ロバートソン(阿部美哉訳)『グローバリゼーション―地球文化の社会理論』東京大学出版会、1997年
    S・サッセン(伊豫谷登士翁訳)『グローバリゼーションの時代―国家主権のゆくえ』平凡社、1999年

    #2 (10月7日)帝国としてのアメリカ合衆国とラテンアメリカ
      米国の「裏庭」といわれるラテンアメリカとの関連で、「民主主義と自由の国」アメリカがなぜ他国を侵略するのか、その歴史を概観する。
     参考文献:
    ジン、ハワード『学校では教えてくれない本当のアメリカの歴史(上)(下)』あすなろ書房、2009年
    グリンデJr&ジョハンセン『アメリカ建国とイロコイ民主制』(星川淳訳)みすず書房、2006年
    生井英孝『興亡の世界史第19巻 空の帝国 アメリカの20世紀』講談社、2006年
      ヴァラダン『自由の帝国―アメリカン・システムの世紀』(伊藤剛ほか訳)NTT出版、2000年
    小倉英敬『侵略のアメリカ合州国史―<帝国>の内と外』新泉社、2005年
      高橋章『アメリカ帝国主義成立史の研究』名古屋大学出版会、1999年
      中野聡『歴史経験としてのアメリカ帝国―米比関係史の群像』岩波書店、2007年
      ネグリ&ハート『<帝国>―グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性』(水嶋一憲ほか訳)以文社、2003年
      パニッチ&ギンディン『アメリカ帝国主義とはなにか』(渡辺雅男訳)こぶし書房、2004年
    山本吉宣『「帝国」の国際政治学―冷戦後の国際システムとアメリカ』東信堂、2006年
    コリン・クラウチ『ポスト・デモクラシー』青灯社、2007年

    #3 (10月14日)第1クールの小括
    受講者のリアクションペーパーをもとに、質疑応答・議論する。

    #4 第2クール 米国と日本の関係 (10月21日)対テロ戦争:象徴となったイスラエル、汚れ仕事に奔走する日本(予定)
    特別講師(予定):小田切拓氏(フリージャーナリスト)
    かつて欧米社会の最下層として、ホロコーストの悲劇にも見舞われたユダヤ人が、
    軍事占領を続けているにも関わらず、欧米では「テロの犠牲者」として揺るぎない
    立場に収まった。一方、欧米ではない日本は、アメリカの意のままに危険な中東
    政策を強行している。しかし一向に地位は上がらない日本は、西側社会の
    最下層になったようだ。
    なぜ日本が利用され、その認識がないのか。最近10年の、アメリカとイスラエルの関係の変化から紐解く。
    参考文献:
      ロイ、サラ『ホロコーストからガザへ―パレスチナの政治経済学』(岡真理・小田切拓・早尾貴紀編訳)青土社、2009年

    #5 (10月28日)アメリカ―戦争する国の人びと取材レポート〜若者たちの選択(予定)
    特別講師(予定):影山あさ子氏(フリージャーナリスト。ドキュメンタリー映画「アメリカばんざい―crazy as usual」「One shot to kill」インタビュアー・製作者)
    在日米軍基地でも、兵士のほとんどは、20歳そこそこの若者たち。アメリカは戦時下の国。戦場へ行くと知りながら、なぜ若者たちは軍隊を志すのか。戦争へ行った、かつての若者たちは、その後どうなったのか。取材映像を交え、報告する。
     参考文献・映像:
     映画「One shot to kill」
     映画「アメリカばんざい crazy as usual」
     映画「アメリカ―戦争する国の人びと」
     映画「Marines Go Home―辺野古・梅香里・矢臼別」
      雨宮処凛『生きさせろ! 難民化する若者たち』太田出版、2007年 
      梅林宏道『在日米軍』岩波新書、2002年

    #6 (11月4日)第2クールの小括
    受講者のリアクションペーパーをもとに、質疑応答・議論する。

    #7 第3クール ラテンアメリカの社会問題と革命家 (11月11日)ゲバラは死なない
     ロバート・レッドフォードがプロデュースした映画『モーターサイクル・ダイアリーズ』とスティーブン・ソダバーグ監督『チェ:28歳の革命』『チェ:39歳別れの手紙』を題材に、神話化されたゲバラとその実像を考える。
    参考映像と参考文献:
    『モーターサイクル・ダイアリーズ』
    『チェ:28歳の革命』『チェ:39歳別れの手紙』
    太田昌国『ゲバラを脱神話化する』現代企画室、2000年
    エルネスト・チェ・ゲバラ『モーターサイクル・ダイアリーズ』(棚橋加奈江訳)角川文庫、2004年
    エルネスト・チェ・ゲバラ『ゲバラ日記』(高橋正訳)角川文庫、1999年
    戸井十月『チェ・ゲバラの遥かな旅』集英社、2004年
    三好徹『チェ・ゲバラ伝』原書房、2001年

    #8 (11月25日)マルコス副司令官の夢
    新自由主義(市場原理主義)的グローバリゼーションに反対し、先住民の権利と文化の擁護、自由・民主主義・正義を求めて武装蜂起したサパティスタ国民解放軍の理念と活動を、その指導者であるマルコス副司令官の言動から読み解く。
    参考映像と参考文献:「Zapatista」「メキシコのゲリラ」
    Henck, Nick, Subcommander Marcos: The Man and the Mask, Duke Univ. Press: Durham and London, 2007
    山本純一『インターネットを武器にした<ゲリラ>――メキシコ・サパティスタ国民解放軍の闘争と言説に関する一研究』慶應義塾大学出版会、2002年
    山本純一『メキシコから世界が見える』集英社新書、2004年
    山本純一「サパティスタの挑戦――反グローバリズム・新ナショナリズム・脱国家ローカリズム」『ラテンアメリカ・レポート』2003年第20巻第2号、アジア経済研究所
    山本純一「社会運動とインターネット――サパティスタ運動に関する論争をめぐって」梅垣理郎編『総合政策学の最先端 第郡』慶應義塾大学出版会、2003年
    山本純一「<帝国>に抗するサパティスタ――マルチチュードの可能性」『神奈川大学評論』第45号、2003年7月
    「山本純一の視点」(http://web.sfc.keio.ac.jp/~llamame/viewpoint/)
    崎山政毅『サバルタンと歴史』青土社、2001年
     サパティスタ民族解放軍(太田昌国・小林致広編訳)『もう、たくさんだ!――メキシコ先住民
    蜂起の記録1』現代企画室、1995年
    G.ロビラ著・柴田修子訳『メキシコ先住民女性の夜明け』日本経済評論社、2005年
    マルコス/イボン・ル・ボ著・佐々木真一訳『サパティスタの夢』現代企画室、2005年

    #9 (12月2日)第3クールの小括
    受講者のリアクションペーパーをもとに、質疑応答・議論する。

    #10 第4クール 日本とラテンアメリカ (12月9日)ラテンアメリカと日本を結ぶフェアトレード(予定)
    日本とラテンアメリカのフェアトレードの課題や可能性を論じ、望ましい国際関係のあり方を考える。
    参考文献:
    池上甲一「拡大するフェアトレードは農産物貿易を変えるか――その意義とパースペクティブ」『農業と経済』2004年4月号、6−17頁。
    臼井隆一郎『コーヒーが廻り 世界史が廻る』中公新書,1992年
    オックスファム・インターナショナル『コーヒー危機――作られる貧困』(日本フェアトレード委員会
    訳・村田武監訳)筑波書房、2003年
    辻村英之『コーヒーと南北問題――「キリマンジャロ」のフードシステム』日本経済評論社、2004年
    ブラウン、マイケル・バラット(青山薫、市橋秀夫訳)『フェアトレード―−公正なる貿易を求めて』
    新評論、1998年
    ペンダーグラスト、マーク(樋口幸子訳)『コーヒーの歴史』河出書房新社、2002年
    山本純一『メキシコから世界が見える』集英社新書、2004年
      山本純一「コーヒーのフェアトレードの可能性と課題――メキシコ・チアパス州の2つの生産者協同
    組合を事例として」野村・山本編(2006)所収
      山本純一「開発支援とフェアトレードにおける中間組織の役割―FTPの活動を事例として」田島英一・山本純一編『協働体主義』慶應義塾大学出版会、2009年

    #11 (12月16日)ラテンアメリカへの日系移民、そして移民からデカセギへ
    戦前、国策としての「口減らし」のため、南米への日系移民がたどった苦難の道や日系移民社会内部における差別・対立の諸相を点描したのち、彼らの子孫が「デカセギ」として滞在する現代日本における共生の問題を考える。
    参考映像と参考文献:NTV(1997)「出稼ぎ」
    伊豫谷登士翁『グローバリゼーションと移民』有信堂、2001年
    大串和雄「フジモリ問題をめぐる10の疑問」『日刊ベリタ』、2002年
    遅野井茂雄『現代ペルーとフジモリ政権』アジア経済研究所、1995年
    小林忠太郎『ドミニカ移住の国家犯罪――移民という名の偽装「海外派兵」』八月書館、2004年
    萱野稔人『国家とはなにか』以文社、2005年
    村上勇介『フジモリ時代のペルー――救世主を求める人々、制度化しない政治』平凡社、2004年
    増田義郎・柳田利夫『ペルー 太平洋とアンデスの国――近代史と日系社会』中央公論新社、1999年
    柳田利夫編著『リマの日系人――ペルーにおける日系社会の多角的分析』明石書店、1997年
    柳田利夫編『ラテンアメリカの日系人――国家とエスニシティ』慶應義塾大学出版会、2002年
    山脇千賀子「人の移動・国家・生活の論理」清水透編著『ラテンアメリカ――統合圧力と拡散のエネルギー』大月書店、1999年
    若槻泰雄『外務省が消した日本人――南米移民の半世紀』毎日新聞社、2001年
    渕上英二『日系人証明』新評論、1995年
    花崎皋平『増補 アイデンティティと共生の哲学』平凡社、2001年
    伊豫谷登士翁『グローバリゼーションと移民』有信堂、2001年
    Alvaro Del Castillo, Los Peruanos en Japón, 現代企画室、1999年

    #12 (1月6日)第4クール小括(書評・映画評の提出締切日)
    受講者のリアクションペーパーをもとに、質疑応答・議論する。

    #13 (1月13日)優秀書評・映画評のプレゼンテーションと講評(授業評価・改善案の提出締切日)
    優秀と認められた書評もしくは映画評を提出した学生諸君に10分程度のプレゼンテーションをお願いします。担当者からは全体および優秀作品についての講評をします。


4. Assignments/Examination/Grad Eval.

    リアクションペーパー(40%)、書評または映画評(50%)、出席点(10%)、授業評価・改善案(プラスアルファ点)。試験は実施しない。


5. Special Note

    本講義の履修を考えている学生はあらかじめ、山本純一(2004)『メキシコから世界が見える』(集英社新書)を読んでおくことが望ましい。また、スペイン語インテンシブ靴篁核椶担当する「開発とローカリズム」の受講を考えている学生には本科目の履修を強く勧める。


6. Prerequisit / Related courses

    -


7. Conditions to take this course

    -


8. Relation with past courses

    「リージョナルアナトミー論D」「リージョナルアナトミー論E」*これらの科目を進級、卒業あるいは修了に関わる科目の単位として修得済みの学生は、自由科目としての履修のみ可能。


9. Course URL


2010-08-16 10:18:43.617449


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