KGC


慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス
授業概要(シラバス)


情報数学2 (向井 国昭

    2012年度秋学期 水曜日3時限
    科目コード: 14350 / 2単位
    カテゴリ: 10.創造技法科目-ナレッジスキル(学部)


1. 主題と目標/授業の手法など

    情報を扱う理論的な枠組みを解説する.数学には大きく決定性と非決定性(確率的)のふたつに分けられる.この情報数学2は後者に重点をおく.とくに,コルモゴロフ流の確率論を基礎とする.「エントロピー」,「ブラック/ショールズ」,「量子もつれ」,「 対称性の自発的破れ」などの非決定性的な概念を,確率論を基礎とする数学的枠組みの中で解説する.証明の詳細は省略するが,話しの論理的なつながりは「ごまかさない」ようにする.なおBarwise/Seligmanの情報の流れの理論を,情報の意味論の単純かつ強力な新しい枠組みとして紹介する.本講の中では例外的に決定性的な理論である.


2. 教材・参考文献

    教科書:
    コルモゴロフの確率論入門
    A. コルモゴロフ, A. プロホロフ, I. ジュルベンコ 著
    丸山 哲郎, 馬場 良和 訳,
    森北出版,
    2003
    ISBN 4627095112


    参考書:

    title = {偶然とは何か――その積極的意味 (岩波新書)},
    author = {竹内 啓},
    publisher = {岩波書店},
    year = {2010},
    series = {岩波新書 ;},
    isbn = {4004312698},

    title = {多様体入門 (数学選書 (5))},
    author = {松島 与三},
    publisher = {裳華房},
    isbn = {4785313056},

    title = {理論物理のための 微分幾何学 - 可換幾何学から非可換幾何学へ},
    author = {杉田 勝実 and 岡本 良夫 and 関根 松夫},
    publisher = {森北出版},
    isbn = {4627081510},

    title = {接続の微分幾何とゲージ理論},
    author = {小林 昭七},
    publisher = {裳華房},
    isbn = {4785310588},

    title = {確率過程},
    author = {伊藤 清},
    publisher = {岩波書店},
    isbn = {4000052004},

    title = {確率論の基礎 新版},
    author = {伊藤 清},
    publisher = {岩波書店},
    edition = {新 edition},
    isbn = {4000051946},

    title = {確率論と私},
    author = {伊藤 清},
    publisher = {岩波書店},
    isbn = {400005208X},

    title = {確率論 (岩波基礎数学選書)},
    author = {伊藤 清},
    publisher = {岩波書店},
    isbn = {400007816X},

    title = {確率論の基礎概念 (ちくま学芸文庫)},
    author = {A. N. コルモゴロフ and 坂本 實},
    publisher = {筑摩書房},
    isbn = {4480093036},

    title = {通信の数学的理論 (ちくま学芸文庫)},
    author = {クロード・E. シャノン and ワレン ウィーバー and 植松 友彦},
    publisher = {筑摩書房},
    isbn = {4480092226},

    title = {情報理論 (ちくま学芸文庫)},
    author = {甘利 俊一},
    publisher = {筑摩書房},
    isbn = {4480093583},

    title = {確率論とその応用 1 上},
    author = {ウィリアム フェラー and 河田 龍夫 and 卜部 舜一},
    publisher = {紀伊國屋書店},
    isbn = {4314000120},

    title = {複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線},
    author = {マーク・ブキャナン and 阪本 芳久},
    publisher = {草思社},
    year = {2005},
    edition = {初 edition},
    isbn = {4794213859},
    pages = {357},
    title = {隠れていた宇宙 (上)},
    author = {ブライアン・グリーン and 竹内 薫 and 大田 直子},
    publisher = {早川書房},
    year = {2011},
    isbn = {4152092254},
    pages = {324},

    title = {隠れていた宇宙 (下)},
    author = {ブライアン・グリーン and 竹内 薫 and 大田 直子},
    publisher = {早川書房},
    year = {2011},
    isbn = {4152092262},
    pages = {324},

    title = {137 物理学者パウリの錬金術・数秘術・ユング心理学をめぐる生涯},
    author = {アーサー・I・ミラー and 阪本芳久},
    publisher = {草思社},
    year = {2010},
    isbn = {4794217935},
    pages = {480},

    title = {素粒子論のランドスケープ},
    author = {大栗 博司},
    publisher = {数学書房},
    isbn = {4903342670},
    pages = {333}}

    title = {精神と物質―意識と科学的世界像をめぐる考察},
    author = {エルヴィン シュレーディンガー and Erwin Schr¨odinger and 中村 量空},
    publisher = {工作舎},
    year = {1999},
    edition = {改訂 edition},
    isbn = {4875023057},

    title = {「標準模型」の宇宙 現代物理の金字塔を楽しむ},
    author = {ブルース・シューム and 森 弘之},
    publisher = {日経BP社},
    isbn = {4822283615},

    title = {ハイゼンベルクの顕微鏡~{}不確定性原理は超えられるか},
    author = {石井 茂},
    publisher = {日経BP社},
    year = {2006},
    isbn = {4822282333},

    title = {宇宙はなぜこんなにうまくできているのか (知のトレッキング叢書)},
    author = {村山 斉},
    publisher = {集英社インターナショナル},
    isbn = {4797672234},


    title = {重力とは何か アインシュタインから超弦理論へ、宇宙の謎に迫る (幻冬舎新書)},
    author = {大栗 博司},
    publisher = {幻冬舎},
    isbn = {4344982614},

    title = {量子の海、ディラックの深淵――天才物理学者の華々しき業績と寡黙なる生涯},
    author = {グレアム・ファーメロ and Graham Farmelo and 吉田 三知世},
    publisher = {早川書房},
    year = {2010},
    isbn = {4152091606},

    title = {サイクリック宇宙論―ビッグバン・モデルを超える究極の理論},
    author = {ポール J.スタインハート and ニール・トゥロック and 水谷 淳},
    publisher = {早川書房},
    year = {2010},
    isbn = {4152091290},

    title = {物質のすべては光―現代物理学が明かす、力と質量の起源},
    author = {フランク・ウィルチェック and 吉田 三知世},
    publisher = {早川書房},
    isbn = {4152090979},

    title = {ワープする宇宙―5次元時空の謎を解く},
    author = {リサ ランドール and Lisa Randall and 向山 信治 and 塩原 通緒},
    publisher = {日本放送出版協会},
    isbn = {4140812397},



3. 授業計画

    第1回 モンテカルロ法
    サイコロを繰り返し投げて円周率3.14...を求めることができる. なぜだろう? 確率とは面積や体積のような
    ものだ.

    第2回 賭博の数理
    その昔, パスカルは次のような相談をうけた. 賭博の最中, 事情により途中でやめなくてはならなくなった. どのように賭け金を配分して精算するのがするのが公平か. 中止以降のすべての可能な経過の列挙. 期待値の計算.

    第3回 酔っぱらいは家に帰還できるか?
    酔っぱらいが千鳥足で家を出た. 彼は家に無事戻れるだろうか? 戻れるとしてその平均歩数はいくつか?
    2次元格子状の路地だとどうなるか? 3次元格子状の場合はどうなる?

    第4回 コルモゴロフの確率空間(有限)
    根源事象, 事象, 事象のブール代数, 試行, 独立な試行. ベイズの法則. 確率. 確率の加法性,
    平均, 分散. 大数の法則

    第5回 コルモゴロフの確率空間(一般)
    ルベッグの測度論. ルベッグ積分はリーマン積分の一般化. ルベッグ積分の特徴. 確率論にとってルベッグ積分が本質的な理由はどこか ?

    第6回 確率過程としての株価の変動
    確率過程とは何か? ウィーナ過程, ガウス過程, 加法過程. 伊藤の確率微分方程式の考え方. 至るところ微分不可能な連続関数を扱えるところがコルモゴロフ-伊藤以後の確率過程の進化である. 確率過程としての量子力学(ファインマン)

    第7回 エントロピー
    ボルツマンの気体分子運動論におけるエントロピー. シャノンの情報理論通信の枠組みと エントロピー. よみがえるマックスウェルの悪魔. ブラックホールとエントロピー

    第8回 決定性と非決定性
    神はサイコロを振るか? 量子もつれ. 量子情報通信の考え方.
    線形空間. テンソル積. ユニタリ変換, 射影, 固有値. 固有ベクトルを用いて簡潔に解説する. 線形代数の初歩を前提すると, 量子力学の応用は意外に易しい.

    第9回 ハイゼンベルクの不等式から小澤の不等式へ
    ごく最近, 量子力学における 不確定性原理のハイゼンベルグの不等式が誤りであることが
    実験的に確認された. この意味と意義を, 数式を用いて解説する.

    第10回 ヒッグス粒子の発見
    つい最近, CERNのLHCでヒッグス粒子の存在がとうとう, ほぼ確認されたというビッグニュースが流れた.
    日本の研究者もデータのコンピュータ処理などで重要な貢献をしました. この発見は標準理論の勝利宣言ともいわれている. もともと 南部陽一郎, 小林ー益川 など標準理論における日本人の貢献は本質的でした. 発見を記念して量子論(非決定性数学)の観点からヒッグス粒子の解説をする.

    第11回 「物質のすべては光」(ウィルチェックのグリッド)
    対称性の自発的破れ(南部)は, ヒッグス場のもとになった考え方である. 自発的破れは, 箱玉系, セルラーオートマトン, ネオンサイン(朝永の比喩), ライフゲームなど考え方の総称であるグリッド(ウィルチェック)を用いるとよくわかる. グリッドはその簡明さからコンピュータの計算モデル向きでもある. 場の量子論の標準言語である数学のファイバー束と, グリッドを対比させて結びて解説を試みたい.

    第12回 情報理論の展開
    甘利の情報幾何学, 学習理論の枠組み

    第13回 Barwise/Seligmanの チャネル理論
    分類, 情報, 言語の意味, 論理.


4. 提出課題・試験・成績評価の方法など

    ミニレポート 20 × 3 回 = 60
    期末レポート 40
    合計満点100点 (60点未満は不可)


5. 履修上の注意・その他

    なし


6. 前提科目

    なし


7. 履修条件

    なし


8. 旧科目との関係

    「情報数学供廖この科目を進級、卒業あるいは修了に関わる科目の単位として修得済みの学生は、自由科目としての履修のみ可能。


9. 授業URL


2012-09-05 13:26:26.046782


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