KGC


Keio University Shonan Fujisawa Campus
Course Summary (Syllabus)


REGION AND SOCIETY (AMERICAS) (Junichi Yamamoto

    Semester : 2014 Fall
    Code : C1103 / 2 Credits


1. Objectives/Teaching method

    南北アメリカ大陸は広大で、多様性に富む地域である。北はアングロアメリカ、南はラテンアメリカ、さらに後者は、先住民との混血が進んだ地域(インディオ的ラテンアメリカ)、先住民を排除した地域(ヨーロッパ的ラテンアメリカ)、先住民を抹殺し、アフリカからの奴隷とヨーロッパが混淆した地域(カリブ海地域)に分けることができる。だが、近年はグローバリゼーションの進展にともなって、地域統合や移民による接触・交流・摩擦が高まっている。そこで本科目では、グローバル化時代の均質化や格差化によってもたらされている当該地域社会の問題や矛盾そして未来への可能性を、映像および担当者の体験を交えて紹介、議論する。
    具体的なスケジュールは授業計画に示すが、テーマ別に以下の4つのクールに分ける。
    1) われわれは今どのような時代・社会を生きているのか?
    2) 言説・定説を疑う
    3) 革命家の生き方・思想から学ぶ
    4) 21世紀の望ましい世界・社会とは?
    課題は、①クールごとのリアクションペーパー(1000字程度)、②「本科目から学んだこと」と題する期末ペーパー(4000~5000字程度)、③本科目と関連する文献または映像いずれかに関する書評または映画評1本(1000字程度)、④授業評価・改善案である。なお、書評(映画評)は(読書)感想文や要約ではない。取り上げた文献や映画の概要を紹介したのち、他の関連文献(関連映画)と比較しつつ、自分の視点から批評、評価しなければならない。その参考として、授業内で書評や論文の書き方について講義、質疑応答する。


2. Materials/Reading List

    授業計画を参照。


3. SCHEDULE

    #1 グローバリゼーションと米州
    人類の歴史を概観したのち、私たちが生きている時代の文脈と考えられるグローバリゼーションとネオリベラリズム(新自由主義)について、米州に言及しながら論ずる。
    参考映像:「新大陸征服の野望」
    参考文献:
      柄谷行人『世界史の構造』岩波書店、2010年
      柄谷行人『「世界史の構造」を読む』インスクリプト、2011年
     J・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄 (上)(下)』草思社、2000年
    西川長夫(編)『ラテンアメリカからの問いかけ―ラス・カサス、植民地支配からグローバリゼーションまで』人文書院、2000年
    E・オゴルマン(青木芳夫訳)『アメリカは発明された―イメージとしての1492年』日本経済評論社、1999年
    E・ガレアーノ(大久保光夫訳)『収奪された大地―ラテンアメリカ500年』藤原書店、1991年
    トドロフ、ツヴェタン(1986)『他者の記号学――アメリカ大陸の征服』(及川・大谷・菊地訳)法政大学出版局
    遅野井茂雄・宇佐見耕一編『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』アジア経済研究所、2008年
    伊藤千尋『反米大陸―中南米がアメリカにつきつけるNO!』集英社新書、2007年
    吾郷健二『グローバリゼーションと発展途上国』コモンズ、2003年
    内橋克人・佐野誠編『ラテン・アメリカは警告する―「構造改革」日本の未来』新評論、2005年
    後藤道夫『収縮する日本型<大衆社会>――経済グローバリズムと国民の分裂』旬報社、2001年
    ジョヴァンニ・アリギ『長い20世紀―資本、権力、そして現代の系譜』作品社、2009年
    二宮厚美『現代資本主義と新自由主義の暴走』新日本出版社、1999年
    橋本努『帝国の条件―自由を育む秩序の原理』弘文堂、2007年
    ハーヴェイ、デヴィッド『新自由主義――その歴史的展開と現在』(渡辺治監訳)作品社、2007年
    山本純一『メキシコから世界が見える』集英社新書、2004年
    A・G・フランク(山下範久訳)『リオリエント―アジア時代のグローバル・エコノミー』藤原書店、2000年
    西川長夫『増補 国境の越え方――国民国家論序説』平凡社、2001年
    A・アパデュライ(門田健一訳)『さまよえる近代―グローバル化の文化研究』平凡社、2004年
    J・トムリンソン(片岡信訳)『グローバリゼーション―文化帝国主義を超えて』青土社、2000年
    ―――(片岡信訳)『文化帝国主義』青土社、1997年
    G・リッツァ(正岡寛司訳)『マクドナルド化する社会』早稲田大学出部、1999年
    ―――『マクドナルド化の世界―そのテーマは何か?』早稲田大学出版部、2001年
    S・ハンチントン(坪郷實他訳)『第三の波―20世紀後半の民主化』三嶺書房、1995年
    梶田孝道(編)『第2版国際社会学―国家を超える現象をどうとらえるか』名古屋大学出版会、1996年
    R・ロバートソン(阿部美哉訳)『グローバリゼーション―地球文化の社会理論』東京大学出版会、1997年
    S・サッセン(伊豫谷登士翁訳)『グローバリゼーションの時代―国家主権のゆくえ』平凡社、1999年

    #2 知られざる米国史と日本の対米従属
    米国の「裏庭」といわれるラテンアメリカ、そして日本との関連で、「民主主義と自由の国」アメリカがなぜ他国を侵略するのか、従属させるのか、その歴史を概観する。
     
    参考映像:オリバー・ストーン「もう一つのアメリカ史」
    参考資料:
    ストーン&カズニック『オリバー・ストーンが語るもうひとつのアメリカ史 第1巻2つの世界大戦と原爆投下』早川書房、2013年
    ジン、ハワード『学校では教えてくれない本当のアメリカの歴史(上)(下)』あすなろ書房、2009年
    グリンデJr&ジョハンセン『アメリカ建国とイロコイ民主制』(星川淳訳)みすず書房、2006年
    生井英孝『興亡の世界史第19巻 空の帝国 アメリカの20世紀』講談社、2006年
      ヴァラダン『自由の帝国―アメリカン・システムの世紀』(伊藤剛ほか訳)NTT出版、2000年
    小倉英敬『侵略のアメリカ合州国史―<帝国>の内と外』新泉社、2005年
      高橋章『アメリカ帝国主義成立史の研究』名古屋大学出版会、1999年
      中野聡『歴史経験としてのアメリカ帝国―米比関係史の群像』岩波書店、2007年
      ネグリ&ハート『<帝国>―グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性』(水嶋一憲ほか訳)以文社、2003年
      パニッチ&ギンディン『アメリカ帝国主義とはなにか』(渡辺雅男訳)こぶし書房、2004年
    山本吉宣『「帝国」の国際政治学―冷戦後の国際システムとアメリカ』東信堂、2006年
    コリン・クラウチ『ポスト・デモクラシー』青灯社、2007年
    白井聡『永続敗戦論―戦後日本の核心』太田出版、2013年

    #3 第1クールの小括
    受講者のリアクションペーパーをもとに、質疑応答・議論する。

    #4 言説分析とは何か:サパティスタのテクストを事例として
    拙著『インターネットを武器にした<ゲリラ>』をもとにして、言説分析について論ずる。
     参考映像:「メキシコのゲリラ」
     参考資料:
     山本純一『インターネットを武器にした<ゲリラ>――メキシコ・サパティスタ国民解放軍の闘争と言説に関する一研究』慶應義塾大学出版会、2002年
    山本純一『メキシコから世界が見える』集英社新書、2004年
    山本純一「サパティスタの挑戦――反グローバリズム・新ナショナリズム・脱国家ローカリズム」『ラテンアメリカ・レポート』2003年第20巻第2号、アジア経済研究所
    山本純一「社会運動とインターネット――サパティスタ運動に関する論争をめぐって」梅垣理郎編『総合政策学の最先端 第鶚巻』慶應義塾大学出版会、2003年
    山本純一「<帝国>に抗するサパティスタ――マルチチュードの可能性」『神奈川大学評論』第45号、2003年7月
    「山本純一の視点」(http://web.sfc.keio.ac.jp/~llamame/viewpoint/)
    崎山政毅『サバルタンと歴史』青土社、2001年
     サパティスタ民族解放軍(太田昌国・小林致広編訳)『もう、たくさんだ!――メキシコ先住民
    蜂起の記録1』現代企画室、1995年
    G.ロビラ著・柴田修子訳『メキシコ先住民女性の夜明け』日本経済評論社、2005年
    マルコス/イボン・ル・ボ著・佐々木真一訳『サパティスタの夢』現代企画室、2005年

    #5 自由貿易という言説:TPP問題を考える
    自由貿易を歴史的、理論的に振り返り、TPP問題の本質を考える。
    参考資料:
    佐野誠(2013)『99%のための経済学【理論編】』新評論
    下村耕嗣(2008)「グローバリゼーションの光と影」西島章次(編)『グローバリゼーションの国際経済学』勁草書房
    トッド、E.(2010)『自由貿易は、民主主義を滅ぼす』藤原書店
    西川潤・生活経済政策研究所編(2007)『連帯経済―グローバリゼーションへの対案』明石書店
    ハーシュマン、アルバート・O(矢野修一ほか訳)『連帯経済の可能性―ラテンアメリカにおける草の根の経験』法政大学出版局、2008年
    マクミラン、ジョン(2007)『市場を創る―バザールからネット取引まで』(瀧澤弘和・木村友二訳)NTT出版
    毛利健三(1978)『自由貿易帝国主義』東京大学出版会
    山本純一(2006a)「連帯経済―人間中心の経済の再生をめざして」『月刊オルタ』2月号
    ザオ・ライシュン(2008)「貿易・投資自由化の政治経済学的考察」西島編に所収。
    Trentmann, Frank (2008), “Before Fair Trade: Empire, Free Tradeand the Moroal Economics of Food in theModern World,” in Nutzennadel and Trentmann (ed.), Food and Globalization: Consumption, Markets and Politics in the Modern World, New York, Berg.I

    #6 書評や論文の書き方
     拙稿をもとにして、私なりの書評や論文の書き方について講義したのち、受講生からの質問に答える。
      参考文献:
    山本純一「書評・北野収著『南部メキシコの内発的発展とNGO―グローカル公共空間における学び・組織化・対抗運動』」『アジア経済』第50巻第8号、2009年
    山本純一「メキシコ南部農村社会の持続可能な発展としてのフェアトレード――社会的企業バツィルマヤグループのバリューチェーン構築戦略を事例として」厳網林・田島英一編『アジアの持続可能な発展に向けて』慶應義塾大学出版会、2013年
    山本純一「コーヒーのフェアトレードの可能性と課題――メキシコ・チアパス州の2つの生産者協同組合を事例として」野村・山本編(2006)所収
    山本純一「開発支援とフェアトレードにおける中間組織の役割―FTPの活動を事例として」田島英一・山本純一編『協働体主義』慶應義塾大学出版会、2009年

    #7 第2クールの小括
    受講者のリアクションペーパーをもとに、質疑応答・議論する。

    #8 ゲバラは死なない
    ロバート・レッドフォードがプロデュースした映画『モーターサイクル・ダイアリーズ』とスティーブン・ソダバーグ監督『チェ:28歳の革命』『チェ:39歳別れの手紙』を題材に、神話化されたゲバラとその実像を考える。
    参考映像と参考文献:
    『モーターサイクル・ダイアリーズ』
    『チェ:28歳の革命』『チェ:39歳別れの手紙』
    太田昌国『ゲバラを脱神話化する』現代企画室、2000年
    エルネスト・チェ・ゲバラ『モーターサイクル・ダイアリーズ』(棚橋加奈江訳)角川文庫、2004年
    エルネスト・チェ・ゲバラ『ゲバラ日記』(高橋正訳)角川文庫、1999年
    戸井十月『チェ・ゲバラの遥かな旅』集英社、2004年
    三好徹『チェ・ゲバラ伝』原書房、2001年

    #9 マルコス副司令官の夢
     新自由主義(市場原理主義)的グローバリゼーションに反対し、先住民の権利と文化の擁護、自由・民主主義・正義を求めて武装蜂起したサパティスタ国民解放軍の理念と活動を、その指導者であるマルコス副司令官の言動から読み解く。
    参考映像と参考文献:「Zapatista」「メキシコのゲリラ」
    Henck, Nick, Subcommander Marcos: The Man and the Mask, Duke Univ. Press: Durham and London, 2007
    山本純一『インターネットを武器にした<ゲリラ>――メキシコ・サパティスタ国民解放軍の闘争と言説に関する一研究』慶應義塾大学出版会、2002年
    山本純一『メキシコから世界が見える』集英社新書、2004年
    山本純一「サパティスタの挑戦――反グローバリズム・新ナショナリズム・脱国家ローカリズム」『ラテンアメリカ・レポート』2003年第20巻第2号、アジア経済研究所
    山本純一「社会運動とインターネット――サパティスタ運動に関する論争をめぐって」梅垣理郎編『総合政策学の最先端 第鶚巻』慶應義塾大学出版会、2003年
    山本純一「<帝国>に抗するサパティスタ――マルチチュードの可能性」『神奈川大学評論』第45号、2003年7月
    「山本純一の視点」(http://web.sfc.keio.ac.jp/~llamame/viewpoint/)
    崎山政毅『サバルタンと歴史』青土社、2001年
     サパティスタ民族解放軍(太田昌国・小林致広編訳)『もう、たくさんだ!――メキシコ先住民
    蜂起の記録1』現代企画室、1995年
    G.ロビラ著・柴田修子訳『メキシコ先住民女性の夜明け』日本経済評論社、2005年
    マルコス/イボン・ル・ボ著・佐々木真一訳『サパティスタの夢』現代企画室、2005年

    #10 第3クールの小括
    受講者のリアクションペーパーをもとに、質疑応答・議論する。

    #11 連帯経済としてのフェアトレード(予定)
     連帯経済とフェアトレードの歴史と概念を概説した後、米国とカナダの中小コーヒー焙煎業者のフェアトレード連合組織Cooperative Coffeesを取り上げ、地域社会にどのような貢献をしているかを論ずる。
    参考文献:
     山本純一「フェアトレードの歴史と構成概念の変容」『立命館経済学』、2014年

    #12 メキシコと日本を結ぶコーヒーのフェアトレード(予定)
     日本とメキシコのフェアトレードの課題や可能性を論じ、望ましいフェアトレードや社会のあり方をゲストとの対談をとおして考える。
     ゲスト(予定):杉山世子(株)豆乃木代表取締役(SFC卒業生)
    参考文献:
    池上甲一「拡大するフェアトレードは農産物貿易を変えるか――その意義とパースペクティブ」『農業と経済』2004年4月号、6−17頁。
    臼井隆一郎『コーヒーが廻り 世界史が廻る』中公新書,1992年
    オックスファム・インターナショナル『コーヒー危機――作られる貧困』(日本フェアトレード委員会
    訳・村田武監訳)筑波書房、2003年
    辻村英之『コーヒーと南北問題――「キリマンジャロ」のフードシステム』日本経済評論社、2004年
    ブラウン、マイケル・バラット(青山薫、市橋秀夫訳)『フェアトレード―−公正なる貿易を求めて』
    新評論、1998年
    ペンダーグラスト、マーク(樋口幸子訳)『コーヒーの歴史』河出書房新社、2002年
    山本純一『メキシコから世界が見える』集英社新書、2004年
      山本純一「コーヒーのフェアトレードの可能性と課題――メキシコ・チアパス州の2つの生産者協同
    組合を事例として」野村・山本編(2006)所収
      山本純一「開発支援とフェアトレードにおける中間組織の役割―FTPの活動を事例として」田島英一・山本純一編『協働体主義』慶應義塾大学出版会、2009年

    #13 第4クール小括(期末ペーパーの提出締切日)
     受講者のリアクションペーパーをもとに、質疑応答・議論する。

    #14 優秀作品のプレゼンテーションと講評(書評または映画評ならびに授業評価・改善案の提出締切日)
    優秀と認められた期末ペーパーを提出した学生諸君に10分程度のプレゼンテーションをお願いします。担当者からは全体および優秀作品についての講評をします。


4. Assignments/Examination/Grad Eval.

    リアクションペーパー(40%)、書評または映画評(10%)、期末ペーパー(40%)、出席点(10%)、授業評価・改善案(プラスアルファ点)。試験は実施しない。


5. Special Note

    本講義の履修を考えている学生はあらかじめ、山本純一(2004)『メキシコから世界が見える』(集英社新書)を読んでおくことが望ましい。また、スペイン語インテンシブ3や山本が春学期に担当する「開発とローカリズム」の受講を考えている学生には本科目の履修を強く勧める。


6. Prerequisit / Related courses

    -


7. Conditions to take this course

    -


8. Relation with past courses

    -


9. Course URL


2014-07-26 12:57:52.871224


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