KGC


慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス
授業概要(シラバス)


パーソナリティ発達論 (濱田 庸子貞安 元

    2017年度秋学期 金曜日2時限
    科目コード: B6133 / 2単位
    カテゴリ: 8.基盤科目-共通科目(学部)


1. 主題と目標/授業の手法など

    ひとのこころの働き、パーソナリティは、どのように発達するのだろうか。またその発達が障害された場合、どのような問題が生じるのだろうか。この講義では、精神分析的なこころの発達論から、現代の乳幼児研究にいたるパーソナリティ研究を概説し、乳幼児期からの養育環境との相互交流が、どのように成人のパーソナリティを作り上げるのかを理解できるようにしたい。また、各自が自分自身の育ってきた歴史を振り返るなどの作業を通して、パーソナリティを体験的に理解できることを目指す。さらに、パーソナリティの発達の障害がどのようなこころの問題を引き起こすかを紹介し、パーソナリティの基礎を作る乳幼児期の重要性を強調したい。


2. 教材・参考文献

    教材:毎回講義プリントを配布する

    参考図書:

    1)小此木啓吾他編、必携精神医学ハンドブック、創元社、1988、ISBN 4-422-11205-8
    2)A.J.ザメロフ,R.N.エムディ著、井上果子他訳、早期関係性障害−乳幼児期の成り立ちとその変遷を探る、岩崎学術出版社、2003、ISBN 4-7533-0300-4
    3)妙木浩之著、フロイト入門(ちくま新書254)、筑摩書房、2000、ISBN 4-480-05854-0
    4)小此木啓吾、フロイト思想のキーワード(講談社現代新書1585)、講談社、2002、ISBN 4-06-149585-2
    5)前田重治著、図説臨床精神分析学、誠信書房、1985、ISBN 4-414-40144-5
    6)前田重治著、図説臨床精神分析学続、誠信書房、1994、ISBN 4-414-40170-4

    そのほか、講義中に適宜紹介する


3. 授業計画

    第1回 講義のイントロダクション
    この講義のねらい、履修上の諸注意、課題など、講義全体について説明する。
    フロイドから現代までの精神分析の発展と、パーソナリティ研究の位置づけについて、概説する。

    第2回 Freud:無意識の発見、夢と失錯行為
    精神分析の創始者であるS.Freudがどのように無意識を発見したのか、
    精神分析的な意識/無意識について、夢や失錯行為の実例をあげて説明す

    第3回 Freud:自我の働きと防衛機制
    精神分析理論の基礎となる自我の働き、その中でも特に防衛機制について
    説明する。さらにこの自我の考え方が、後のパーソナリティー論にどのよ
    うにつながったかを、考える。

    第4回 Freud:心理性的発達
    Freudが明らかにした心理性的発達は、その後のパーソナリティー発達研
    究の一番基礎となる理論である。
    その発達の考えを紹介し、Freud以降の研究の動向についても概説する。

    第5回 Spitz,Harlow,Bowlby:母性剥奪、愛着理論
    第2次世界大戦後に戦災孤児の研究から出発した母性剥奪の研究は、乳幼
    児にとっての母親の重要性を明らかにした。愛着理論などについて紹介す

    第6回 Mahler:分離個体化研究
    乳幼児と母親が一体感の中からどのように分離し、個体化するかを明らか
    にしたMahlerの研究と、その発展について紹介する。

    第7回 Klein:分裂−妄想ポジションと抑うつポジション
    英国で独自にFreud理論を発展させ、早期乳幼児期のこころの世界を明ら
    かにしたKleinの理論を概説する

    第8回 Winnicott:錯覚と脱錯覚
    英国の小児科医で精神分析医でもあったWinnicottは、わかりやすい言葉
    で乳幼児のこころの世界と環境のかかわりについて述べている。
    乳幼児精神保健の鍵となる概念を作ったWinnicottの理論を紹介する。

    第9回 Emde:情緒応答性の研究とIFEELPictures
    乳幼児の発達における情緒応答性の役割を明らかにしたEmdeの研究を紹
    介し、
    Emdeらとわれわれが共同研究しているIFEEL Picturesについて説明す
    る。

    第10回 Stern:自己感の発達と母性のコンステレーション
    現在の乳幼児精神保健の指導的研究者であるSternの自己感の発達につい
    ての理論と、初めて赤ちゃんを持つ母親に生じるこころの組織の変化であ
    る母性のコンステレーションを紹介する

    第11回 関係性障害1(自閉症スペクトラム障害)
    乳幼児と養育者の関係性の体験によって、乳幼児あるいは養育者個人に
    症状が出ることを、関係性障害という。関係性障害は乳幼児、養育者の
    いずれかあるいは両方に問題があって生じる。
    乳幼児側に障害があって生じる関係性障害の例として自閉症スペクトラム障害をとり
    あげ、早期からコミュニケーションの障害を持つ自閉症児のこころの世
    界を通して、早期の関係性の体験がどのように発達に影響しているかを
    考える

    第12回 関係性障害2(児童虐待)
    養育者の側に問題があって生じる関係性障害の例として、児童虐待をと
    りあげる。最近悲惨な事件が相次ぐ幼児虐待について、養育者はなぜ虐
    待行動をとってしまうのか、そして被虐待児のパーソナリティーがどの
    ように障害されるかを考える

    第13回 関係性障害3(児童虐待の影響)
    乳幼児期に受けた虐待は、パーソナリティ発達に深刻な影響を与える。ま
    た虐待の連鎖につながる危険性もある。このような児童虐待の影響につい
    て、考える。

    第14回 生涯にわたる発達(ライフサイクル論)
    乳幼児期の発達を中心に講義してきたが、パーソナリティーの発達は生
    涯続いていく
    エリクソンのライフサイクル論を元に、思春期、成人期、老年期の課題
    について考える。


4. 提出課題・試験・成績評価の方法など

    毎回の講義終了後に、講義内容の確認テストを行い、さらに中間レポートと期末試験を行う。
    中間レポート、期末試験、および授業確認テストを、総合して評価する。
    ただし中間レポート未提出の場合は、期末試験受験資格を認めない。
    (中間レポートは、冬休み明けの提出を予定している)


5. 履修上の注意・その他

    この科目は心的環境論履修のための前提科目なので、心的環境論を履修予定の学生は必ず履修してください。また濱田研究会への参加を希望する学生も、必ず履修してください。
    自分自身の生育歴を振り返るレポート課せられるため、振り返ることが難しい学生には、履修を勧めません。


6. 前提科目

    なし


7. 履修条件

    自分自身の育ってきた歴史を振り返り、レポートを書くことができること。


8. 旧科目との関係

    なし


9. 授業URL


2017-09-02 13:49:20.115358


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