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比較文化D

お知らせ


科目名比較文化D [ シラバス ]
http://web.sfc.keio.ac.jp/~t02471hs/class/hikaku_d/

 この授業の目的は現代の欧州、とりわけフランスの実像を探り、 それを一種特異な拡大鏡として現代日本を、 あるいはより一般的に現代の世界を顧みることにある。
 従来、 わが国におけるフランスのイメージはきわめて偏ったステレオタイプの積み重ねにとどまっているが、 それでも近年、 2002年ワールド杯でのサッカー日本チーム監督トルシエ、 日産自動車社長ゴーンの登場によって、 そうしたステレオタイプに少し風穴が開いたかに見える。 この授業では、 その風穴を押し広げ、 日本人一般にとって合点しやすい鋳型にはおさまらぬ、 したがって 「違和感」 に満ちたフランスおよびフランス国民の姿を発見しようと試みる。 西欧の 「文明国」 を無批判に仰ぎ見る時代はとうに過ぎ去った。 しかしまた今日、 「もはや西欧から学ぶものはない!」 などと嘯 (うそぶ) くのも、 浅薄の誹りを免れない。異文化を理解するとは結局、 その異文化に接するときに自らが覚える違和感を知的に検証することと表裏一体なのだ。
 この授業はSFCフランス語研究室の専任教員2名が担当するが、2回程度、義塾他学部の教授による特別講義を挿入する予定である。具体的内容はシラバスを参照願いたいが、いずれにせよ、堀茂樹(フランスの思想&文学、現代フランス&EU論)は、フランスの地政学的条件や歴史的文脈を踏まえつつ、現代フランス及びヨーロッパ統合に関わる政治問題、社会問題を思想的観点から分析し、いくつかの争点を浮き彫りにしようと試みるにちがいない。一方、國枝孝弘(近代フランス文学、フランス語教育)は、専門の文学だけでなく、そこから越境して言語と記憶、アート、音楽、映画などに言及するだろう。両名が何らかの共通テーマを扱うかどうかは未定だが、とにかく一致協力し、全体として脈絡の明らかな講義をおこなうように努める。


担当者 堀 茂樹國枝 孝弘
授業期間2005年秋学期 木曜日3時限
授業レベル 学部
参考文献 参考文献リスト


授業ビデオとマテリアル
受講したい回をクリックしてください。
第01回2005/09/29 イントロダクション(担当:堀・國枝)
授業全体について、概要説明をおこなう。 


第02回2005/10/06 近代と過去の想起(担当:國枝)
- レジュメ(PDF)
近代国家の成立過程において文学がどのような役割を果たしたのか、記憶を軸に、
伝統、口承、民衆という観点からこの問題を扱う。


第03回2005/10/13 伝統とモデルニテの表象(担当:國枝)
- レジュメ(PDF)
フランス革命以後の近代社会の成立に対して、文学者はどのような態度をとったの
か。シャトーブリアンとボードレールを例にとって、19世紀の文学者たちの時代に
対する批判の根拠を考察する。


第04回2005/10/20 言語学の誕生と起源の探究(担当:國枝)
- レジュメ(PDF)
19世紀は自らの過去を想起し、起源を探る指向性を持っていた。その起源を探究す
る過程で生まれてきたのが言語学である。19世紀における言語学の誕生を起源の想
起という観点から考察する。


第05回2005/10/27 歴史学の誕生(担当:國枝)
- レジュメ(PDF)
- 配布資料(PDF)
想起の作用による過去の再構成化という観点から、19世紀の歴史家ジュール・ミシ
ュレを例にとり、その歴史観を「民衆の記憶」、「文化の同一性」という視点から
考える。


第06回2005/11/10 意識の表象(担当:國枝)
- レジュメ(PDF)
意識と無意識の問題を20世紀初頭の文学者マルセル・プルーストを例に考察し、個
人という主体を形成する際の記憶の重要性について考察する。


第07回2005/11/17 体験の表象(担当:國枝)
個人はみずからの体験をどのように言語化するのか、個人的な体験の表象の問題を
ジョルジュ・ペレックの文学作品を例にとって考察する。


第08回2005/12/01 ナショナル・アイデンティティーとフランス国籍法――「フランス人」とは何か?(担当:堀)
- 講義メモ(PDF) [公開終了]
- 日本の国籍法(PDF) [公開終了]
- フランスの国籍法(PDF) [公開終了]
フランス国籍法の変遷を正確に知ることを通して、フランスにおけるナショナル・
アイデンティティーの在り方を探る。同時に、欧米各国や日本の国籍法にも言及
し、国際的な比較をおこなう。


第09回2005/12/08 フランスにおける近代的ネーションの理念と愛国主義の諸相――ネーションとは何か?(担当:堀)
- 講義メモ(PDF) [公開終了]
典型的な近代国民国家と考えられているフランスにおいて「ネーションとは何か」 
という問題を考察する。その上で、大革命以降のフランスで愛国主義がけっして右
翼の専売特許ではなかったことを明らかにし、二つの愛国主義がネーション理念お
よび国家理念をめぐって対立してきたありさまを検討する。


第10回2005/12/15 プロジェクトとしての欧州統合――ヨーロッパ統合における普遍性と多様性の分節化(担当:堀)
- 講義メモ(PDF) [公開終了]
欧州憲法条約がフランスの国民投票で批准されなかったことは記憶に新しいが、そ
れでも、典型的な国民国家フランスの将来が統合欧州にあることは間違いない。進
化した近代のプロジェクトという観点から、来るべき「ヨーロッパ」の形を展望す
る。


第11回2005/12/22 フランスのフェミニズムと「パリテ論争」――男女関係の中の普遍性と差異(担当:堀)
- 講義メモ(PDF) [公開終了]
フランスの代議制民主主義における男女同数(「パリテ」)法制化をめぐる論議を
解きほぐし、フランスの文化的伝統の中に平等と性差の「幸福な」分節化の可能性
を探る。その上で、現代日本の状況との比較を試みる。


第12回2006/01/12 「ライシテ」の概念とそのアクチュアリティ――フランス共和国流の「共生」(担当:堀)
フランスの国立中・高等学校における宗教的シンボル(ex.「イスラム・スカー
フ」)の顕示的着用を禁じる法律の制定をめぐる議論をとおして、フランス共和国
における社会統合の鍵ともいえる「ライシテ」の原理を紹介し、考察しながら、英
米、日本における統合の方式と比較する。


第13回2006/01/19 現代フランスから見る世界――イラク戦争とその後の世界(無)秩序をめぐって(担当:堀)
現代のフランス人は、どのような見地から、どのような視線で世界を見ているのだ
ろうか? フランスの政界・言論界に存在するいくつかの世界ヴィジョン、とりわ
け、イラク戦争が始まる前に米英に抗して強力な国連外交を展開した当時のフラン
ス外相(現在の首相)ドミニック・ド・ヴィルパンの言説を通して見えてくる世界
観を考察する。



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