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近代思想

お知らせ


科目名近代思想 [ シラバス ]
http://web.sfc.keio.ac.jp/~s03009hy/ks2006/

 なぜ人を殺してはいけないのか? なぜ電車の中で化粧をしてはいけないのか? なぜクローン人間の製造は禁止されなければならないのか? 安楽死・尊厳死や妊娠中絶の是非をめぐって、なぜ人びとは対立するのか? 民主主義において一人一票が鉄則とされるのはなぜなのか? なぜ自然を大切にすることが良いことなのか? 現代美術の作品を見ても「わけが分からない」のはなぜなのか? ……こうした問いのいずれを穿(うが)っていった場合でも、われわれは結局、人間と世界をめぐる普遍的にして究極的な問題――哲学的問題――に行き着く。この授業はいわば、その岩盤のごとき問題をじかに自分の掌(てのひら)で叩いてみることへの誘(いざな)いにほかならない。
 上に列挙したような具体的な疑問を予備的な知識も訓練もなしにいきなり扱おうとすると、授業はさまざまな「意見」が堂々めぐりを繰り返す「しゃべり場」と化してしまうだろう。それでは虚(むな)しい。したがってここでは、哲学の基本概念であると同時に論争の焦点でもあるいくつかの概念(主体、意識、無意識、自由、他者、時間、個人、国家、歴史、真、美、愛、等々)の輪郭をできるだけ明瞭にすることを通して、履修する諸君とともに、人間とは何か、近代とは何か、という究極の問いの厳密化に努めてみたい。加えて、政治哲学上のいくつかのポイントに言及することで、現代世界における「総合政策」的思考に奥行きを与えることができれば幸いだと考えている。
 なお、はっきりさせておこう。この科目は専門科目ではない。「教養」としての「知」(=人間形成の知)を目的とする科目である。したがって、何かのプロ(エキスパート)を養成することはまったく念頭に置かない。目指すところはむしろ、アマチュア――市民、知識人――にとって見識の核となるような知的感受性の涵養である。当然、たくさんの知識を頭に詰め込むことよりも、論理的思考の錬磨や批判精神の覚醒を重視する。なにしろ、人間の生き方をめぐる問題における究極の選択は、実は専門家などに任せておけないのである。


担当者 堀 茂樹
授業期間2006年春学期 木曜日4時限
授業レベル 学部
参考文献 参考文献リスト


授業ビデオとマテリアル
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第01回2006/04/13 はじめに+「美」をめぐって
- 講義メモ(PDF) [公開終了]
この授業の知的姿勢に関してひと言したあと、「美」に関する哲学的な問い
を通して「間主観性」を見出されること、美をめぐる議論が共生の模索に通
じることを示唆する。


第02回2006/04/20 哲学とは何か:代表的古代哲学としてのストア学派
- 講義メモ(PDF) [公開終了]
古代ギリシャ〜ローマにおいて支配的だったストイシズムの世界観・倫理
観・死生観を知り、その上で、キリスト教の浸透とともに何が変わったか、
何が変わらなかったかを考える。


第03回2006/04/27 キリスト教の勝利と哲学の後退
- 講義メモ(PDF) [公開終了]
- 新授業日程(PDF) [公開終了]
主にデカルト、ルソー、カントの思想を参照しながら、哲学上の「近代」が
いかなる意味において人間主義(ヒューマニズム)の時代であるかを認識す
る。


第04回2006/05/11 近代哲学のエッセンス
- 講義メモ(PDF) [公開終了]
T・トドロフに依拠し、「近代人」(=当然のことながら、われわれ現代人
を含む)の精神的態度を保守主義、科学主義、個人主義、人間主義の四つに
分類して考察する。


第05回2006/05/18 近代思想の四つの傾向
- 講義メモ(PDF) [公開終了]
「ポスト・モダン」の嚆矢といってよいニーチェの系譜学、存在論、反倫理
の倫理観、「運命愛」を紹介し、果たして今日われわれはニーチェ主義者で
あり得るかどうかを考えてみる。


第06回2006/06/01 「ポストモダン」の哲学 - ニーチェの場合 -
- 講義メモ(PDF) [公開終了]
ニーチェ、マルクス、フロイト以後――脱構築以後――の思想はいかにある
べきか? ハイデガーの技術論を紹介し、唯物論の問題点を指摘し、L・フ
ェリーの考え方を紹介する。


第07回2006/06/08 現代哲学の課題と動向
デカルト以後の近代哲学が「主体の哲学」(ハイデガーの所謂「主体性の形
而上学」)であるというのは如何なる意味においてか。意識と無意識につい
て考えることを通して、主体を批判的に捉え直す。


第08回2006/06/15 主体、個人、無意識
- 講義メモ(PDF) [公開終了]
近代哲学において主体と他者の関係をがどのように考えられてきたか(デカ
ルト、ヘーゲル、現象学...)を振り返りつつ、同一性と差異を併せ持つ「ア
ルター・エゴ」=他者について考える。


第09回2006/06/22 他者という難問
- 講義メモ(PDF) [公開終了]
ルソー、カント、フィヒテ、サルトルらの「自由の哲学」と、さまざまな形
をとる唯物論との間の対立を明確にし、その対立の中で、科学の条件と、倫
理の可能性を検討する。


第10回2006/06/29 人間の自由?
- 講義メモ(PDF) [公開終了]
義務の意識を軸とする近代的倫理観、すなわちカント流の克己的倫理観がど
のような哲学的構造を持ち、何を基準とするかを要約した上で、現代におけ
る有効性を問う。人間主義vs個人主義、自律vs独立。


第11回2006/07/06 「べし」という要請?; 幸福の追求?
- 講義メモ(PDF) [公開終了]
古代において主流だった目的論的倫理は幸福の追求と一致する。近代におい
てこの種の倫理観を引き継ぎ、今日優勢となっているかに見える「功利主
義」の考え方と、ロールズ等によるその批判を紹介する。


第12回2006/07/10 人権と国家
- 講義メモ(PDF) [公開終了]
近代の人間観は人権宣言に要約されているとも言える。人権の理念、定義、
分類をおこない、近代国家の役割と限界を考察する。また、人権の両義性に
注目し、それに対応する民主主義の形態を指摘する。


第13回2006/07/13 愛について
- 講義メモ(PDF) [公開終了]
モンテーニュ、パスカル、フッサール等を参照し、とりわけツヴェタン・ト
ドロフに依拠して、愛について考究する。「内在性の中の超越性」、目的と
しての他者の発見。



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