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比較文化D

お知らせ


科目名比較文化D [ シラバス ]


 この授業の目的は現代の欧州、とりわけフランスの実像を探り、 それを一種特異な拡大鏡として現代日本を、 あるいはより一般的に現代の世界を顧みることにある。
 従来、 わが国におけるフランスのイメージはきわめて偏ったステレオタイプの積み重ねにとどまっているが、 それでも近年、 2002年ワールド杯でのサッカー日本チーム監督トルシエ、 日産自動車社長ゴーンの登場によって、 そうしたステレオタイプに少し風穴が開いたかに見える。 この授業では、 その風穴を押し広げ、 日本人一般にとって合点しやすい鋳型にはおさまらぬ、 したがって 「違和感」 に満ちたフランスおよびフランス国民の姿を発見しようと試みる。 西欧の 「文明国」 を無批判に仰ぎ見る時代はとうに過ぎ去った。 しかしまた今日、 「もはや西欧から学ぶものはない!」 などと嘯 (うそぶ) くのも、 浅薄の誹りを免れない。異文化を理解するとは結局、 その異文化に接するときに自らが覚える違和感を知的に検証することと表裏一体なのだ。
 この授業はSFCフランス語教室の専任教員3名が担当し、オムニバス形式でおこなう。具体的内容はシラバスを参照願いたいが、いずれにせよ、古石篤子(フランス語学、言語教育政策)は、ヨーロッパの言語文化状況を解説しながら、我が国のそれをも分析するだろう。また、堀茂樹(フランスの思想&文学、現代フランス&EU論)は、フランスの地政学的条件や歴史的文脈を踏まえつつ、現代フランス及びヨーロッパ統合に関わる政治問題、社会問題を思想的観点から分析し、いくつかの争点を浮き彫りにしようと試みるにちがいない。さらに、國枝孝弘(近代フランス文学、フランス語教育)は、専門の文学だけでなく、そこから越境してアート、音楽、映画などに言及する予定だ。3名が一致協力し、何らかの共通テーマを軸として、全体として脈絡の明らかな講義をおこなうように努める。


担当者 古石 篤子國枝 孝弘堀 茂樹
授業期間2006年秋学期 木曜日3時限
授業レベル 学部
参考文献 参考文献リスト


授業ビデオとマテリアル
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第01回2006/09/28 イントロダクション
- アンケート(PDF)
授業全体の説明のあと、講師3人によるパネルディスカッション形式で、本講
義において目指すことを浮き彫りにしたい。


第02回2006/10/05 記憶と起源-19世紀フランス近代を考える(1)「近代と過去の想起」 - 國枝
- レジュメ(PDF)
近代の定義は様々だが、ここではフランス革命以前と以後の断絶に注目し、
その時代の文学の定義を考えながら、近代社会の形成が過去の想起とどのよ
うに結びついているのか、問題を概観する。
<参考文献>
福井憲彦編『フランス史』(山川出版社)特に第5章
遅塚忠躬『フランス革命 歴史における劇薬』(岩波ジュニア新書)
クシシトフ・ポミアン『ヨーロッパとは何か』(平凡社ライブラリー)
工藤庸子『ヨーロッパ文明批判序説』(東京大学出版会)


第03回2006/10/12 記憶と起源-19世紀フランス近代を考える(2)「伝統とモデルニテの表象」 - 國枝
- レジュメ(PDF)
フランス革命以後の近代社会の成立に対して、文学者はどのような態度をと
ったのか、シャトーブリアンなどの文学者の態度を例にして、19世紀の文学
者たちの同時代批判を考察する。
<参考文献>
ゴデショ『反革命』(みすず書房)
石川美子『自伝の時間』(中央公論新社)
阿部良雄『群集の中の芸術家』(中公文庫)


第04回2006/10/19 記憶と起源-19世紀フランス近代を考える(3)「学問の誕生:言語学と歴史学」 - 國枝
- レジュメ(PDF)
19世紀に成立することになる、言語学と歴史学という2つの学を起源を探究と
過去の再構成という観点から考察する。
<参考文献>
風間喜代三『言語学の誕生』(岩波新書)
風間喜代三『印欧語の故郷を探る』(岩波新書)
モーリス・オランデール『エデンの園の言語』(法政大学出版局)
ロジェ=ポル・ドロワ『虚無の信仰』(トランスビュー)
ジュール・ミシュレ『民衆』(みすず書房)


第05回2006/10/26 記憶と起源-19世紀フランス近代を考える(4)「意識の表象と<私>」 - 國枝
- レジュメ(PDF)
20世紀初頭のフランスの大作家マルセル・プルーストの『失われた時を求め
て』の抜粋を読みながら、意識と無意識、記憶の表象といった問題を考え、
19世紀から20世紀への移り変わりを「私」をキーワードにして考える。
<参考文献>
マルセル・プルースト『失われた時を求めて』(ちくま文庫)
ロラン・バルト「人はつねに愛するものについて語りそこなう」『テクスト
の出口』(みすず書房)所収
鈴木道彦『プルーストを読む』(集英社新書)


第06回2006/11/02 ことばと思考、そして文化 - 古石
- ハンドアウト(PDF)
よく「ことばは透明なツールではない」と言われる。それは「ことばは思考
様式を決定する」という意味であったり、「ことばは文化を反映する」とい
う意味であったりする。だが本当にそうだろうか。またもしそうであるな
ら、いかにして、どの程度までこれらの命題は正しいのだろうか。「文化」
を「比較」する際に、まず「ことば」というものの役割を明確に押さえてお
きたい。


第07回2006/11/09 ことばとジェンダー - 古石
- ハンドアウト(PDF)
生物学的な性(sex)と対比して、文化的・社会的につくられた性差を「ジェ
ンダー」という。この回では、ことばの内部そのものに反映されている社会
的・文化的性差の問題を、日本語・フランス語・英語を視野にいれて考察
し、それを乗り越える視点を模索したい。


第08回2006/11/16 ことばと国家(1) - 古石
- ハンドアウト(PDF)
私たちには日本=日本語、フランス=フランス語という図式がないだろう
か。2回続きで、「ことば」をめぐる問題にみられる日本とフランスの国家体
質の類似点と相違点を探ってみたい。初回は国語の成立と少数言語(地域
語・少数言語、移民の言語)について考察する。


第09回2006/11/30 ことばと国家(2) - 古石
- ハンドアウト(PDF)
前回に続き、両国の自国語普及政策について考察する。植民地と言語の問題
にも触れようと思う。


第10回2006/12/07 ナショナル・アイデンティティーとフランス国籍法(1) - 堀
- 講義メモ・資料(PDF) [公開終了]
フランスの国籍法を正確に知ることに努めつつ、欧米各国や日本の国籍法に
も言及し、国際的な比較をおこなう。国籍法はネーション概念の反映ではな
いが、それと無関係でもないと考える立場から、フランスにおけるナショナ
ル・アイデンティティーの在り方を探ると同時に、近代的ネーションとはい
かなるものであるのかを問い直す。


第11回2006/12/14 ナショナル・アイデンティティーとフランス国籍法(2)/「ライシテ」 - フランス方式の「共生」(1) - 堀
フランスの国立中・高等学校における宗教的シンボル(ex.「イスラム・スカ
ーフ」)の顕示的着用を禁じる法律の制定をめぐる議論をとおして、フラン
ス共和国における社会統合の鍵ともいえる「ライシテ」の原理を紹介し、そ
の実態をも考察しながら、英米、日本における統合の方式と比較する。


第12回2006/12/21 「ライシテ」 - フランス方式の「共生」(2)/プロジェクトとしての近代的ネーション、プロジェクトとしての欧州統合(1)- 堀
- TA中嶋洋平さん講義資料(PDF) [公開終了]
- 講義メモ(PDF) [公開終了]
欧州憲法条約がフランスの国民投票で批准されなかったことは記憶に新しい
が、それでも、典型的な国民国家フランスの将来が統合欧州にあることは間
違いない。進化した近代のプロジェクトという観点から、来るべき「ヨーロ
ッパ」の形を展望し、欧州市民権について考える。


第13回2007/01/11 プロジェクトとしての近代的ネーション、プロジェクトとしての欧州統合(2)- 堀
- TA中嶋洋平さん講義資料(PDF) [公開終了]
- 講義メモ(PDF) [公開終了]
都市郊外に住む貧困層の若者の「暴動」(2005年秋)と、CPUという雇用契約
の法制化に対する学生の反対運動(2006年春)は、フランス全体を揺るが
し、社会の亀裂と政治の危機がかなり深刻なものであることを示した。しか
し、それは一体どういう亀裂であり、危機であるのか? 何に起因するの
か? 来る
大統領選挙をも展望しつつ、フランスにおける民主主義の行方を考える。



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