序論として、環境政策とは何かを概観するとともに、授業計画を紹介する。
高度経済成長に伴う公害問題の深刻化、公害対策基本法の制定、公害国会に おける公害対策立法の進展など本格的な公害対策の形成、環境庁の設置と環 境行政の展開などをレビューし、わが国は激甚な公害とその克服の経験から 教訓として何を学んだのかについて考察する。
公害対策の教訓を踏まえた予防的施策への志向、経済・社会の変化に伴い新 に生じた都市型・生活型公害問題や深刻化した廃棄物問題への取組、世界的 関心の高まりを背景とした地球環境問題への取組などについてレビューす る。
環境基本法制定の背景、同法の目的、基本理念について概説する。また、環 境基本法およびこれに基づき実施されている環境政策の諸原則(未然防止・予 防、汚染者負担、拡大生産者責任など)について論ずる。
環境問題の変遷に伴う環境政策の展開プロセスにおいて、公害防止計画、環 境基本計画などの計画的手法が発展してきた。これらの計画的手法に関し、 計画の機能と要素、環境基準などの計画の目標、計画策定プロセス、実施状 況の点検・評価と計画の見直しなどについて論ずる。
対策実施手法として、行為規制、パフォーマンス規制、手続き規制などの規 制的手法、税・課徴金、預かり金払い戻し制度、排出量取引などの経済的手 法、情報開示手法、自主的取組、および環境教育・学習、普及啓発、民間活 動支援などの支援的手法について論ずるとともに、政策課題の内容に応じた 政策手法の選択と組合せについて考察する。
環境問題の変遷に伴い、企業・市民(NGO,NPO)の役割が増大している。そこ で、企業・市民の環境行動の現状をレビューし、その課題は何かを考察す る。
第5回、第6回および第7回で学んだ各種政策手法や増大する企業・市民の役割 を踏まえ、特定の環境問題を事例にその特性や実態に応じて関係する各主体 が果たすべき役割や各種政策手法の適切な組合せ方についてインタラクティ ブな授業を通じて学ぶ。
循環型社会形成推進政策を事例として取り上げ、容器包装リサイクル制度を 含め、どのように政策が進展してきたのか、どのような政策ミックスが採用 されているのかを、国の政策担当者の講演を通じて検証する。
地球温暖化対策を事例として取り上げ、京都議定書目標達成計画の実施のた めにどのような政策ミックスが採用されているのかを、国の政策担当者の講 演を通じて検証する。