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古典と現在

お知らせ


科目名古典と現在 [ シラバス ]
http://hori.sfc.keio.ac.jp/

 現代の問題に根元的に取り組もうとするなら、逆説的なことだが、「今・ここ」の直接性からいったん離れてみる必要がある。「今・ここ」を相対化して普遍と永遠を地平とする視野の中に捉え直す上で、時代を超えて残ってきた古典的著作ほどに助けになるものはない。「現在」を没却して「古典」を骨董品のように愛でるのではない。「現在」に密着したまま手前勝手に「古典」をつまみ食いするのでもない。「現在」を生きている人間として「古典」と出会い、対話することを試みよう。まずは、個々の著作をそれが書かれた当時の状況を念頭に置きつつ虚心に読み込むことに努めなければならない。さもないと、古典の内に他者の声を聴き取ることはできない。この講義では、ヨーロッパ(ときに古代ギリシャ・ローマに遡る)の古典のうちから、人間の生死の意味をめぐる問題、および共生の課題(=倫理・政治)を追究した幾つかの著作を取り上げることになるだろう。


担当者 堀 茂樹
授業期間2008年春学期 木曜日4時限
授業レベル 学部
参考文献 参考文献リスト


授業ビデオとマテリアル
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第01回2008/04/10 はじめに
今学期取り上げる予定のテクストの簡単な紹介。本を読むというのはどうい
う営みであるかという点への言及。講義予定などの説明。


第02回2008/04/17 I. 人間存在の根元的問題を抉る古代悲劇(1)ソポクレス『オイディプス王』を読む(1)
古代ギリシャにおいて悲劇とは何であったかということについて、また、
『オイディプス王』の物語のコンテクストについて解説した上、作品の構造
に注目し、その全体的把握に努める。


第03回2008/04/24 I. 人間存在の根元的問題を抉る古代悲劇(1)ソポクレス『オイディプス王』を読む(2)
『オイディプス王』のテクストの分析と読解に努め、そこに内包されている
意味について、現代を生きるわれわれの身にも引きつけて考える。


第04回2008/05/01 I. 人間存在の根元的問題を抉る古代悲劇(2)ソポクレス『アンティゴネ』を読む (1)
『アンティゴネ』の物語のコンテクストについて解説した上、作品の構造に
注目し、その全体的把握に努める。


第05回2008/05/08 I. 人間存在の根元的問題を抉る古代悲劇(2)ソポクレス『アンティゴネ』を読む (2)
『アンティゴネ』のテクストの分析と読解に努め、そこに内包されている意
味について、現代を生きるわれわれの身にも引きつけて考える。*一本目の
レポートの課題発表(予定)。


第06回2008/05/15 II. ネーションと世界秩序をめぐる近代の思考(1)カント『永遠平和のために』を読む(1)
西洋思想史におけるカント哲学の位置を紹介し、『永遠平和のために』の背
景や、この著作が及ぼした影響を説明した上で、テクストの全体的把握に努
める。その際、いくつかのキー概念について注釈する。


第07回2008/05/29 II. ネーションと世界秩序をめぐる近代の思考(1)カント『永遠平和のために』を読む(2)
『永遠平和のために』をある程度細かく、そしてできるだけ厳密に読み進
め、現代にも通じるいくつかの観点から、このテクストの意味を掘り起こす
ことに努める。


第08回2008/06/05 II. ネーションと世界秩序をめぐる近代の思考(2)エルネスト・ルナン『国民とは何か』を読む(1)
E・ルナンの人と思想、本講演の時代背景に言及した上で、『国民とは何
か』のテクストからいくつかの要点、際立った点を抽出し、ルナンの唱えた
ネーション観を把握する。


第09回2008/06/12 II. ネーションと世界秩序をめぐる近代の思考(2)エルネスト・ルナン『国民とは何か』を読む(2)
ルナンのこの講演と対比されることの多い哲学者J.-G.フィヒテ(1762-
1814)の1807年の演説『ドイツ国民に告ぐ』にも言及しながら、ルナンの
『国民とは何か』のアクチュアリティを考え、日本の「今、ここで」、ネー
ション、国家、言語、文化、愛国心などを問い直す。*二本目のレポートの
課題発表(予定)。


第10回2008/06/19 III. 20世紀の悲劇の底から立ち上がってきた作品(1)プリーモ・レーヴィ『アウシュヴィッツは終わらない』を読む(1)
プリーモ・レーヴィの人と作品、本書が証言している事柄の歴史的文脈、そ
して本書の生成に関する解説をおこなう。作品構造および文体の考察と、著
者の姿勢と意図の推察などを通して、テクストの輪郭を捉える。


第11回2008/06/26 III. 20世紀の悲劇の底から立ち上がってきた作品(1)プリーモ・レーヴィ『アウシュヴィッツは終わらない』を読む(2)
『アウシュヴィッツは終わらない』のテクストのいくつかの箇所を分析的に
読む。人間、人間性/非人間性、他者、神と愛の不在、記憶、真実等々のテ
ーマに着目しつつ、できるだけ深い読解への示唆を提供したい。


第12回2008/07/03 III. 20世紀の悲劇の底から立ち上がってきた作品(2)アゴタ・クリストフ『悪童日記』を読む(1)
アゴタ・クリストフの人と作品全般を紹介し、『悪童日記』および後続の二
つの小説(『悪童日記』三部作)が素材とした歴史的事実を確認し、本小説
の生成に関する解説をおこなう。テクストの構造と文体に注目しながら、作
品の全体的把握に努める。


第13回2008/07/11 III. 20世紀の悲劇の底から立ち上がってきた作品(2)アゴタ・クリストフ『悪童日記』を読む(2)
『悪童日記』のテクストのいくつかの箇所をどう理解するか、さらにはどう
解釈するか、できれば学生諸君と意見交換をしながら探ってみたい。またこ
の小説がわれわれの「今、ここ」に与える衝撃についても考えてみたい。*
三本目のレポートの課題発表(予定)。



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