この講義の趣旨・内容や授業担当者の基本的な考え方などを説明したうえ で、憲法を学ぶ意義、憲法の概念、憲法規範の特質などについて検討する。 この講義を履修登録しようと考えている学生は、必ず第1回目の講義に出席さ れたい。
日本国憲法の意義、三大原理(国民主権主義、平和主義、人権尊重主 義)、補助的原理(権力分立、法の支配、法治主義)などについて検討す る。
人権享受の主体適格性(外国人や法人など)について検討する。
特殊な法律関係における人権保障(一般職公務員、刑事施設被収容者) と、憲法の私人間効力(第三者適用)について検討する。
日本国憲法13条に定める幸福追求権と、そこから導出される新しい人権に ついて検討する。
日本国憲法14条に定める法の下の平等の意義について、事例に触れつつ検 討する。
日本国憲法が保障する精神的自由権のうち、思想・良心の自由(19条)、 信教の自由とその制度的保障としての政教分離原則(20条)、学問の自由と その制度的保障としての大学の自治(23条)について検討する。
日本国憲法21条について論ずる。具体的には、表現の自由の価値・射程・ 内容、事前抑制・検閲の禁止、集会・結社の自由の3つについて検討する。い わゆる二重の基準論について詳述する。
居住・移転の自由(日本国憲法22条1項前段、2項)、職業選択の自由(22 条1項後段)、財産権の保障(29条)の3つについて検討する。いわゆる規制 目的二分論について詳述する。
法定適正手続の保障(日本国憲法31条)と、その他の憲法に定める刑事手 続上の権利(33条〜39条)について検討する。この回では、死刑制度の存廃 論と裁判員制度の意義について、時間の許す限り、考えてみたい。
生存権(日本国憲法25条)、教育を受ける権利(26条)、勤労の権利(27 条)と労働基本権(28条)について検討する。請願権(16条)、国家賠償請 求権(17条)、裁判を受ける権利(32条)、刑事補償請求権(40条)などの 国務請求権についても言及する。
参政権(日本国憲法15条)と近代選挙法の原則について検討する。議員定 数不均衡の問題は、この回で取り上げる。
総括に代えて、日本国憲法の生立ちと行方について、受講者とともに展望 する。