KGC


慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス
授業概要(シラバス)


コミュニケーションダイナミクス (深谷 昌弘

    2003年度春学期 水曜日1時限
    科目コード: 36180 / 2単位
    カテゴリ: 23.専門-複合系科目(学部)


1. 主題と目標/授業の手法など

       
    ヒューマンコミュニケーションと社会関係の形成

     ネットワーク・I T の進展は通信コミュニケーションをますます多彩で豊かにするであろう。 しかしながら、 情報技術の進歩は必ずしもバラ色一色というわけにはいかない。 究極のコミュニケーション主体は結局のところ情報端末にいる人間たちである。 人間同士のコミュニケーションは、 新しい有益な意味を創造し豊かさをもたらすこともあれば、 迷走し社会秩序を混乱させることもある。 それがヒューマンコミュニケーションにおける意味のダイナミズムの本来的特性である。 情報技術を人間社会の豊かさに結びつけられるかどうかは、 人間コミュニケーションを協働的・創造的に展開できるかどうかにかかっている。 それゆえ、 21世紀のコミュニケーション新時代は情報技術による通信コミュニケーションの発達が人間コミュニケーションへの注目を改めて喚起する時代でもある。
     生物としてはヒト1種でありながら、 人類は地球上に実に多様な社会形態および文化を展開してきた。 他の生物には見られないこの特徴は言語を媒介とする人間コミュニケーションの創造性と強く深く結びついている。 言語によって、 人間は心の中に新しい意味を創造しそれを社会的なものにすることができる。 だが、 人間コミュニケーションにおける意味の齟齬は社会関係を迷走させ破壊する危険もまた抱えている。
     本講義は、 このような社会的意味のダイナミズムの特性を見据えて、われわれがSFCで開発した新しい言語・コミュニケーション論を展開する。そして、この新パラダイムに基づいて、 社会関係の形成を論じるとともに、 倫理、民主主義における議論の役割、 情報公開、 まちづくり協働など、 幾つかのトピックについてこの視座から言及する。


2. 教材・参考文献

    ◇深谷昌弘、「意味づけ論からソシオセマンティクスへの歩み」、KEIO SFC JOURNAL Vol.2(pp.28-61) 2003

    ◇田中茂範、「第5章 日常言語における意味」、関口一郎編、『入門セミナー・現代コミュニケーション 1コミュニケーションのしくみと作用』(pp.151-176)、大修館書店、1999

    ◇深谷昌弘、「第6章 創造的コミュニケーションとガバナンス問題」、関口一郎編、『入門セミナー・現代コミュニケーション 1コミュニケーションのしくみと作用』(pp.177-225)、大修館書店、1999

    ◇深谷昌弘・田中茂範、『コトバの《意味づけ論》』、紀伊国屋書店、1996

    ◇田中茂範・深谷昌弘、『《意味づけ論》の展開』、紀伊国屋書店、1998

    ◇ロバート・アクセルロッド著、松田裕之訳、『つきあい方の科学』、HBJ出版社、1987

    ◇塚原仲晃、『脳の可塑性と記憶』、紀伊国屋書店、1987

    ◇フロイド・E・ブルーム著、久保田競訳、『脳の探検』(上下)、講談社、1987

    ◇ゲオルグ・ブロイアー著、垂水雄二訳、『社会生物学論争』、どうぶつ社、1988

    ◇尼ケ崎彬、『ことばと身体』、勁草書房、1990

    ◇J・R・サール著、坂本百大・土屋俊訳、『言語行為:言語哲学への試論』、勁草書房、1986

    ◇ハーバーマス著、細谷・山田訳、『[第2版]公共性の構造転換』、未来社、1973

    ◇合意形成研究会、『カオスの時代の合意学』、創文社、1994


3. 授業計画

    第1回      コース案内
       
         狙い
         コース全体の構成
         履修要領など

    第2回      第I部 ヒューマンコミュニケーションと社会現象
       
     人間同士のコミュニケーション、つまり、ヒューマンコミュニケーションにおけるダイナミックな意味の社会的編成可能性が多様性豊かな文化を地球上に発展させてきた。しかし、このようなヒューマンコミュニケーションを取り扱うには、情報理論的コミュニケーション論では限界があることを指摘する。そして、新しい理論の必要性とその理論が備えるべき条件を明らかにする。

         (1)人間の問題解決能力を考える:フレーム問題

    第3回      
         (2)社会関係の成立を考える:ダブルコンティンジェンシー問題

    第4回      
         (3)情報理論的コミュニケーション論の限界と新理論の必要性

    第5回      第II部 新しい言語・コミュニケーション論
       
     人間社会の諸現象は意味の社会的編成と深く関わっている。ここでは、意味の社会的ダイナミズムを取り扱うためにSFCで開発されてきた言語・コミュニケーション論(意味づけ論)を概説する。

         (1)会話モデル

    第6回     
         (2)創造と迷走:意味の不確定性

    第7回     
         (3)会話を支える意味の共有感覚:意味づけにおける共有の秩序性

    第8回      第III部 意味の創造を巡って
       
     ヒューマンコミュニケーションは生産的・創造的に機能することもあれば、ときには、迷走し対立を激化させることもある。ここでは、対立しがちな政治やまちづくりなどを絡めながら、生産的・創造的コミュニケーションを展開するにはどうすればよいかを考えてみる。

         (1)コラボレイティブ・コミュニケーションの創造性


    第9回      
         (2)ヒューマンコミュニケーションの倫理

    第10回      
         (3)深層レベルにおける意味のダイナミズム

    第11回      ミニ・ブレーク  第吃堯疎茘敬瑤砲弔い
       
         Q&Aおよびスクリプト分析・事例紹介

    第12回      第IV部 展望
       
     このコースのまとめとして、ヒューマンコミュニケーション・ダイナミクスの視点から21世紀社会の在り方を考えてみるとともに、それにふさわしいSFCの学問的努力の発展方向の一つとして言語クラスターおよびソシオセマンティクス・プログラム(大学院)について論ずる。

         (1)価値創造型社会へ向けて:協働と競争の相互補完

    第13回      
         (2)ソシオセマンティクスへの展開


4. 提出課題・試験・成績評価の方法など

       
    課題レポートを随時提出してもらう

    自由レポート
    課題レポートとは別に、講義や文献に関する論評・1000字以内(提出回数自由)、12ポイント活字基調、A4用紙1枚 科目名、担当者名、学籍番号、学部、氏名を明記のうえ、 教室または研究室で提出することができる

    成績評価は、課題レポート、自由レポート、および、クラス・アクティビティを総合して行う


5. 履修上の注意・その他

     この科目は「テクスト意味空間分析」や大学院のソシオセマンティクス・プログラムへの初歩的導入ともなってい る。将来この方向の履修を考えている人は本科目を先行履修することが望ましい。


6. 前提科目

    なし


7. 履修条件

    なし


8. 旧科目との関係

    なし


9. 授業URL


2003-03-24 16:20:12


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