KGC


慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス
授業概要(シラバス)


行動と社会関係 (加藤 文俊

    2003年度秋学期 月曜日3時限
    科目コード: 26060 / 2単位
    カテゴリ: 16.汎用-複合系科目(学部)


1. 主題と目標/授業の手法など

    この授業では、わたしたちが日常生活のさまざまな出来事について思い描くイメージ(先入観や偏見などもふくむ)と、人間行動・コミュニケーションとの関わりについて考えます。こうしたテーマに取り組むために、“ゲーミングシミュレーション(以下ゲーミング)”とよばれる「体験学習」の方法を使います。

    “ゲーミング”は、〈ゲーム〉という能動的な参加と、〈シミュレーション〉という実験的な探索を組み合わせたユニークな学習機会を構成します。具体的には、社会関係をテーマとするいくつかの“ゲーミング”のなかで、それぞれがロールプレイ等を体験しながら「行動と社会関係」について考えることになります。

    取り扱うテーマは、

    ・集団における意思決定
    ・情報の共有
    ・(社会的)ジレンマ状況
    ・交渉
    ・コラボレーション
    ・コミュニケーション
     などです。これらの題材を、“ゲーミング”として体験し、考察します。

    単純化すると、“ゲーミング”に代表される「体験学習」の理論は、わたしたちの日常生活における直接体験こそが学習の源泉であるという仮定に依拠しています。何らかの課題(タスク)に直面するという状況が、さまざまな対処の方法を模索するという活動に結びつきます。そして、活動をともなう試行錯誤のプロセスをつうじて、わたしたちは「経験のレパートリー」ともいうべきものを育み、蓄積していくのです。こうして体得された知識は、類似した問題状況において喚起され、〈その時・その場〉(あるいは〈いま・ここ〉)での有意味な活動へと結びつきます。このようにして、学習は「効果」や「結果」ではなく継続的な「プロセス」として概念化すべきものであることが強調されるのです。

    たとえばコルブ(Kolb, 1984)は、デューイに代表されるプラグマティズムの理念や、フレイレのような革新的な教育思想等をふまえて、「脱教室化」を目指す学習が、大きく以下の4つのフェーズから構成されるものとして性格づけています。

    ・経験(Concrete Experience)
    ・省察(Reflective Observation)
    ・概念化(Abstract Conceptualization)
    ・実践(Active Experimentation)

    この4つの側面は、環状の「プロセス」を構成します。つまり、学習は本質的には「始まり」も「終わり」も同定することが困難な、動的な「プロセス」としてとらえられるのです。

    重要なのは、“ゲーミング”として構成される世界での体験や発見・気づきを、他の場面における人間関係・コミュニケーションをめぐる問題と関連づけて理解するという点です。

    演習はその目的・方法によってことなりますが、いずれも大体7名ほどのグループで(授業時間中に)取り組むことになります。授業計画(案)のように、「演習」+「説明・ふりかえり」を2週間でおこなうかたちですすめる予定です(1週目の「演習」では、〈実践・経験〉の部分を体験し、続く週でその体験の〈省察・概念化〉を試みます)。


2. 教材・参考文献

    下記は参考文献です。必要に応じて、クラスで資料や文献リストを配布します。

    ・小林淳一・木村邦博(1991)『考える社会学』(ミネルヴァ書房)ISBN: 4623021262
    ・今田高俊(編)(2000)『社会学研究法:リアリティの捉え方』(有斐閣)ISBN: 464112115X
    ・新井潔ほか(1998)『ゲーミングシミュレーション』シリーズ・社会科学のフロンティア8(日科技連)ISBN: 481716185X
    ・Kolb, D. A.(1984)Experiential learning: Experience as the source of learning and development. Englewood Cliffs: Printice-Hall.


3. 授業計画

    第1回 オリエンテーション
    ・授業のすすめ方について
    ・「体験学習」の考え方

    第2回 【演習0】“消火ゲーム”
    ・ゲーミングシミュレーションを体験する:“消火ゲーム”(加藤, 2001)
    ・説明とふりかえり

    第3回 【演習1】“スリーテン”

    第4回 “スリーテン”の説明とふりかえり
    ・説明とふりかえり
    ・イメージの問題

    第5回 【演習2】“ブランドショップ”

    第6回 “ブランドショップ”の説明とふりかえり
    ・ふりかえり用のゲーム:“マーズメッセージ”(出口, 1996)
    ・コミュニケーションと組織・情報の共有

    第7回 【演習3】“ウィンターサバイバル”

    第8回 “ウィンターサバイバル”の説明とふりかえり
    ・意思決定の方法
    ・リーダーの役割

    第9回 【演習4】“取調室”

    第10回 “取調室”の説明とふりかえり
    ・ふりかえり用のゲーム:“スパイゲーム”(古家ほか, 2002)
    ・社会的ジレンマ状況

    第11回 【演習5】“バルンガ”

    第12回 “バルンガ”の説明とふりかえり
    ・ふりかえり用のゲーム:“合点上等”(錦織ほか, 2002)

    第13回 まとめ
    ・行動と社会関係
    ・メディアとしてのゲーミングシミュレーション
    ・あたらしい学習観の必要性


4. 提出課題・試験・成績評価の方法など

    ・出席、演習への参加、課題レポートなどで総合的に評価します。
    ・学期をつうじて、5〜6種類の「演習(“ゲーミング”)」をおこない、それぞれについて「ふりかえり」のレポートを書くことになります。演習の詳細については授業時間に説明します。
    ・また、まとめとしては授業全体をふまえて、レポートを作成します。


5. 履修上の注意・その他

    ・演習等の都合から、80名程度に履修者数を制限するつもりです。履修希望者はかならず第1回目の授業に出席してください。
    ・授業の構成や内容は、クラスの進行状況に応じて調整します。
    ・授業内容や課題に関する連絡等はおもにウェブでおこなう予定です。


6. 前提科目

    なし


7. 履修条件

    実習の性質上、履修者数を80名程度に制限します。


8. 旧科目との関係

    なし


9. 授業URL


2003-09-01 15:07:41


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