KGC


慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス
授業概要(シラバス)


国際法制論 (青木 節子

    2004年度秋学期 火曜日3時限
    科目コード: 60200 / 2単位
    カテゴリ: 3.プログラム科目(大学院)


1. 主題と目標/授業の手法など

    グローバル・ガバナンスの観点から、国際法制度を考察する。昨年度は総論として以下の4つを検討した。 1国際ルールの成立過程、2国家、国際組織とその他の法主体の機能並びに国家管轄権の調整、3国際レジームの機能とその国内履行、4私法統一の可能性(UNIDROITを題材に)。今年度は、これを宇宙活動に関する法制度という各論で進める。
     授業は、講義と事例研究からなり、クラスでの積極的かつ的確な議論への参加を評価する。ケースに関連した課題の提出を求め、定期試験は課さない。提出課題の出来と授業への貢献に基づいて成績を決定する。授業への貢献は、出席、議論への参加、発表などを意味する。


2. 教材・参考文献

    国際法学会編『陸・空・宇宙』(三省堂、2001年)289頁。
    個別の項目についての参考文献は初回の授業において説明するが、全体を通じての参考書として、山本草二、国際法(新版)、有斐閣、1997(奥付補訂)、802p.


3. 授業計画

    第1回 国際社会におけるルール
    国際社会に「法」は存在するのか、という問の意味を考えた上で、国際法の形成と機能を概観する。その中で宇宙法形成の特色を指摘する。

    第2回 宇宙空間平和利用委員会の活動
    国連宇宙関係条約および宣言を作成するフォーラムとして1959年以降重要な役割を担い続ける宇宙空間平和利用委員会の活動とその特色について説明し、その国際法形成能力を評価する。

    第3回 宇宙の憲法
    宇宙の憲法、宇宙のマグナ・カルタなどと称される1967年の宇宙条約の原則とその今日的意義について述べる。

    第4回 宇宙活動を規律する重要原則
    宇宙条約に続いて宇宙空間平和利用委員会で採択された宇宙関係条約(救助・返還協定、宇宙物体損害責任条約、宇宙物体登録条約、月協定)の内容を学び、国際法制度としてどのような特色をもつのかを検討する。

    第5回 ソフトローとしての宇宙原則・決議
    宇宙空間平和利用委員会で採択された4つの原則・決議(直接放送衛星、リモート・センシング、原子力搭載衛星、スペース・ベネフィット)の内容を学び、国際法制度としてどのような特色をもつのかを検討する。

    第6回 国際組織、個人と国際宇宙法制
    20世紀後半以降の国際法制の変化は国際組織の誕生および個人の法主体性の部分的承認に負うところが大きい。そこで、国際宇宙法制度における国際組織と個人の役割を概観する。

    第7回 国際法制度と超大国:インテルサット、インマルサットの成立と解体
    国際宇宙法制度における国際組織の例としてインテルサットとインマルサットを取り上げ、その成立から解体までを追い、宇宙通信制度における自由と公平を考える。

    第8回 宇宙環境保護
    国際環境法は、その義務の設定方式、責任追及の仕組みなどにつき従来の国際法制度からの離陸が見られる特異な分野であるが、宇宙の環境問題解決にはどのような法政策が取られているか現状を概観し、評価する。

    第9回 経済環境問題としての軌道位置問題
    物理的な環境汚染とともに、宇宙空間には経済的な環境問題としてトンガのような軌道位置のリースや「ペーパー・サテライト」問題がある。これを国際電気通信連合(ITU)での周波数・軌道位置分配制度の喫緊の問題としてとらえ、解決方法を模索する。

    第10回 有人宇宙法制の基本問題
    現在建設中の国際宇宙基地を中心に、宇宙基地における人間をめぐる法制度を考える。宇宙基地で犯罪を犯した人間の処罰、宇宙基地内での発明はどこの国の特許法制に服するのか、宇宙基地で生まれたこどもの国籍はどこになるのか等を考える。

    第11回 国境を超える衛星担保法制 (1)
    担保法制は従来属地的性格が強く国際取引を円滑化させる上での障壁となっていた。これを乗り越えるべく作成された高額な可動物件についての国際的権益統一条約(本体条約)と各可動物件(航空機、衛星、鉄道車輌)についての議定書の内容を調べ、高額動産担保統一条約・議定書が米国統一商法典第9章のグローバル・スタンダード化を意味するか否かを評価する。

    第12回 国境を超える衛星担保法制(2)
    衛星という高額動産のもつ固有の性質に着目しつつ、衛星担保統一議定書が国際宇宙公法と両立するものか、公法上の規制と私法統一規制が抵触する場合はどのような処理が誰によって行われるのか等を考える。また、衛星議定書(案)第16条に規定する救済の制限の範囲を画定し、公法と私法の調和のもとに衛星金融を促進する条件を考える。

    第13回 国際宇宙法制度の今後
    宇宙空間平和利用委員会での法形成能力の低下、国際宇宙基地協定のような有志国連合が作る法制度、民間企業の宇宙活動の活発化(国内宇宙法の拡充傾向)等現状に基づいて、国際宇宙法制度の将来の方向を考え、国際法制度全体の中でどのように位置づけるべきかを考える。


4. 提出課題・試験・成績評価の方法など

    授業への貢献と課題レポートの評価による。授業への貢献とは、出席、議論への参加、積極的な発表等を指す。


5. 履修上の注意・その他

    法律科目を履修済であることが望ましいが、必要条件ではない。


6. 前提科目

    国際社会と法 国家と法


7. 履修条件

    なし


8. 旧科目との関係

    なし


9. 授業URL


2004-09-06 10:49:58


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