KGC


Keio University Shonan Fujisawa Campus
Course Summary (Syllabus)


DEVELOPMENT AND THE LOCAL COMMUNITY (Junichi Yamamoto

    Semester : 2007 Spring
    Code : 65020 / 2 Credits


1. Objectives/Teaching method

    本科目では、開発の理論と実践をローカルな<現場>に即して読み解き、当該地域にとって望ましい開発や開発支援のあり方を探求する。具体的には、開発をめぐる様々な理論を概観したのち、担当者を含め、ラテンアメリカ、アジアなどの現場で開発支援をしている団体・個人の実践活動を紹介し、受講生を交えて議論する。
    課題は、リアクションペーパー(質問・コメントなどを800字程度にまとめること。次回の講義前々日までにメールまたはWEB上で提出すること)、グループワークである。試験は行わない。


2. Materials/Reading List

    各回の文献を参照のこと。


3. SCHEDULE

    #1 オリエンテーション、「低開発」の発明
    本科目の目的・授業計画を紹介したあと、「開発」の起源とその意味、開発問題とともに生み出された「低開発」「第三世界」という概念(言説)について考察する。
    参考文献:
    Escobar, Arturo (1995), Encountering Development: The Making and Unmakig of the Third World, Princeton: Princeton University Press.
    ヴォルフガング・ザックス編(1996)『脱「開発」の時代―現代社会を解読するキイワード辞典』晶文社(とくにG・エステバ「開発」の章)

    #2 近代化論とネオリベラリズム
    開発は好むと好まざるとにかかわらず近代化を志向する。その近代化とは何か、そして現在の近代化論とでもいうべきネオリベラリズム(新自由主義)に関する議論を概観する。
    課題文献(宿題として読んでおくこと):
    鈴木紀(2001)「開発問題の考え方」菊池京子編『開発学を学ぶ人のために』世界思想社
    戸崎純(2005)「持続可能な社会への架橋のために―サブシステンス視座の合意」宮寺卓(2005)「サブシステンスと世界システム論」『環境平和学―サブシステンスの危機にどう立ち向かうか』法律文化社
    郭洋春(2005)「グローバルエコノミー(開発経済学)に対する史的・理論的批判―平和のための経済学をめざして」
    宮寺卓(2005)「サブシステンスと世界システム論」『環境平和学―サブシステンスの危機にどう立ち向かうか』法律文化社
    参考文献:
    富永健一(1996)『近代化の理論――近代化における西洋と東洋』講談社学術文庫
    二宮厚美(1999)『現代資本主義と新自由主義の暴走』新日本出版社
    渡辺治(2001)『日本の大国化とネオ・ナショリズムの形成』桜井書店
    魚住昭・斉藤貴男(2003)『いったい、この国はどうなってしまったのか!』NHK出版
    「21世紀日本の構想」懇談会(2000)『日本のフロンティアは日本の中にある』講談社
    古賀勝次郎(1983)『ハイエクと新自由主義―ハイエクの政治経済学研究』行人社
    渡辺幹雄(1996)『ハイエクと現代自由主義―「反合理主義的自由主義」の諸相』春秋社
    矢島欽次編著(1991)『新自由主義の政治経済学』同文舘
    ミルトン・フリードマン(1984)『政府からの自由』(西山千明監修、土屋政雄訳)中央公論社
    金子勝(1999)『反グローバリズム――市場改革の戦略的思考』岩波書店
    ―――(1999)『反経済学――市場主義的リベラリズムの限界』新書館

    #3 近代化論に対するラテンアメリカからの反論:従属論から世界システム論へ
    近代化論に対する「周辺」からの挑戦といえる従属論の歴史的意義とこれに対する批判を紹介したのち、21世紀の新自由主義時代におけるその役割を再評価する。
    参考文献:
    クリストバル・カイ(2002)『ラテンアメリカ従属論の系譜――ラテンアメリカ:開発と低開発の理論』(吾郷健二監訳)大村書店
    イマニュエル・ウォーラーステイン(1981)『近代世界システム1、2』(川北稔訳)岩波現代選書
    山下範久(2003)『世界システム論で読む日本』講談社選書メチエ

    #4 従属論と世界システム論に関する質疑応答とディスカッション(グループワークのメンバー決め)
    第3回目の授業に対する質疑応答とディスカッションを行なう。受講生はあらかじめ下記の課題文献を熟読しておくこと。
    課題文献:
    子安昭子「従属論の思想と実践」今井圭子編著『ラテンアメリカ開発の思想』日本経済評論社、2004年

    #5 近代化論に対する日本からの反論:内発的発展論とサブシステンス論
    柳田国男と南方熊楠の思想に大きく影響を受けた、鶴見和子の「内発的発展論」の意義とそれに対する批判、そして開発主義からの脱却をめざす「サブシステンス論」を紹介する。
    参考文献:
    鶴見和子(1996)『内発的発展論の展開』筑摩書房
    ――――(1999)『コレクション鶴見和子曼荼羅IX 環の巻 内発的発展論によるパラダイム転換』藤原書店
    郭洋春ほか(2005)『環境平和学―サブシステンスの危機にどう立ち向かうか』法律文化社
    岡本三夫・横山正樹編(1999)『平和学の現在』法律文化社
    郭洋春ほか(2004)『脱「開発」へのサブシステンス論―環境を平和学する! 2』法律文化社
    ビデオ『回生 鶴見和子の遺言 全2巻』藤原書店

    #6 内発的発展論とサブシステンス論に関する質疑応答とディスカッション
    第5回目の授業に対する質疑応答とディスカッションを行なう。受講生はあらかじめ下記の課題文献を熟読しておくこと。
    課題文献:
    鶴見和子(1996)第1章「内発的発展論にむけて」第2章「内発的発展論の系譜」第3章「内発的発展論の原型―費孝通と柳田国男の比較」第4章「内発的発展論と模式論」『内発的発展論の展開』筑摩書房
    石田浩(1995)「書評『内発的発展と外向型発展―現代中国における交錯』」『アジア経済』1995年12月号
    李玲(1998)「郷鎮企業の発展に関する研究―中国政府の政策的対応との関連で」『アジア・アフリカ研究』1998年第4号Vol.38, No.4, 44−85頁。
    横山正樹(2005)「環境平和学としてのサブシステンス論『環境平和学―サブシステンスの危機にどう立ち向かうか』法律文化社

    #7 連帯経済論
    ネオリベラリズムのオルタナティブといわれている「連帯経済」の概念を歴史的かつ経済学的に整理したのち、メキシコ・チアパス州とブラジルの事例を考察する。
    参考文献:
    山本純一(2006)「連帯経済―人間中心の経済の再生をめざして」『月刊オルタ』2006年2月号
    ――――(2005)「連帯経済の構築と共同体の構造転換―メキシコ最貧困州チアパスの経験から」内橋克人・佐野誠編『ラテン・アメリカは警告する―「構造改革」日本の末来』新評論
    ――――(2004)『メキシコから世界が見える』集英社新書
    ――――(2005)「もうひとつの世界は可能か――第5回連帯経済ワークショップに参加して」『山本純一の視点』2005年11月14日号、http://web.sfc.keio.ac.jp/~llamame/
    佐々木毅・金泰昌編著(2002)『公共哲学<7> 中間集団が開く公共性』東京大学出版会

    #8 連帯経済論に関する質疑応答とディスカッション
    第7回目の授業に対する質疑応答とディスカッションを行なう。受講生はあらかじめ下記の課題文献を熟読しておくこと。
    課題文献:
    山本純一(2006)「連帯経済―人間中心の経済の再生をめざして」『月刊オルタ』2006年2月号
    ――――(2005)「連帯経済の構築と共同体の構造転換―メキシコ最貧困州チアパスの経験から」内橋克人・佐野誠編『ラテン・アメリカは警告する―「構造改革」日本の末来』新評論

    #9 アグリビジネスの振興と開発の連鎖―ブラジルの例を中心に
    ゲストスピーカー(予定):本郷豊氏(JICA)
    ブラジルの飛躍的な穀物増産は、世界の農産物貿易構造を改善し、また農村地帯に多くの雇用機会を創出した。しかし、一方で農地の外延的拡大はアマゾン熱帯雨林を消滅の危機に晒している。また注目されるバイオ燃料の急速な普及は、「農業ルネッサンス」と賞賛される反面、農地をめぐる食糧との競合を引き起こしている。グローバル化された世界で、アグリビジネスの振興が引き起こす「開発の連鎖」を考える。
    参考文献:
    本郷豊ほか(2005)『アマゾン:保全と開発』朝倉書店
    本郷豊ほか(2005)『ブラジル事典』 アグリビジネス(P127〜143)
    国際協力事業団(2002)『日伯セラード農業開発協力事業合同調査総合報告書』。以下のサイトで全文ダウンロードが可能
    http://lvzopac.jica.go.jp/external/library?func=function.opacsch.mmindex&view=view.opacsch.toshoshozodsp&shoshisbt=1&shoshino=0000004474&volno=0
    Nepstad D.et al, Modelling conservation in the Amazon Basin. 「Nature」23.March 2006. アマゾン破壊の凄まじさを知ることが出来る論文。
    『アマゾン:消え行く地上最大の熱帯雨林』Nationa Geographic 2007年1月号特集。写真と図表を利用してアマゾン熱帯林破壊の現状を解りやすく説明している。

    #10 シャプラニールの活動と課題
    ゲストスピーカー(予定):中村怜奈氏(NPOシャプラニール)
    1972年の創立以来、南アジアで農村開発やストリートチルドレンの支援活動を行うNGOシャプラニール。バングラデシュでの活動を事例に、海外協力の姿勢や、経済的にも社会的にも厳しい状況にある人々への支援活動の成果や課題について紹介し、いま私たちに何が求められ、何ができるのかを考える。

    #11 東ティモール・コーヒープロジェクト:NPOと企業のパートナーシップのあり方を考える(予定)
    独立後間もない東ティモールのコーヒー農民を支援するため、PWJ(ピースウィンズジャパン)とPARC(アジア太平洋資料センター)は、民間企業と協力した開発支援を行っている。コーヒーしか輸出(商品化)できるものがないという状況にあって、望ましい開発支援ならびに自立支援のためのフェアトレードのあり方を両プロジェクトから考える。

    #12 JICA草の根技術協力事例報告(予定)
    担当者は現在、JICA(国際協力機構)草の根技術協力事業(支援型)のプロジェクトマネージャーとして、メキシコ・チアパス州のコーヒー生産者協同組合「マヤビニック」を支援している。そこで本プロジェクトの目的・概要・経過を説明した後、自立支援がいかに困難な課題であるかを事例に即して紹介、議論する。
    課題文献:「山本純一の視点」のうち、JICA草の根技術協力に関するブログ(http://web.sfc.keio.ac.jp/~llamame/index.html)

    #13 グループワーク「貧困と地域開発」(授業改善案の締め切り)
    本科目の総括として、標記テーマ(サブタイトルを自由に設定してください)についてグループごとにプレゼンを行ない、質疑応答・ディスカッションをする。
    課題文献:
    内橋克人(2005)「日本「構造改革」論の虚実―ラテン・アメリカを既視感として」
    佐野誠(2005)「「失われた10年」を超えて―ラテン・アメリカの教訓」
    いずれも内橋克人・佐野誠編(2005)『ラテン・アメリカは警告する―「構造改革」日本の末来』新評論に所収


4. Assignments/Examination/Grad Eval.

    リアクションペーパー5回(50%)、出席(10%)、グループワーク(40%)、授業改善案(+α点)の成績を総合して評価する。


5. Special Note

    質疑応答と議論を活発にするため、課題文献を指定し、そのコピー集を配布する予定なので、事前によく読んでおくこと。


6. Prerequisit / Related courses

    -


7. Conditions to take this course

    -


8. Relation with past courses

    -


9. Course URL


2007-02-28 11:55:52.532244


Powered by SOI Copyright(c) 2002-2019, Keio University Shonan Fujisawa Campus. All rights reserved.
このサイトの著作権について