KGC


Keio University Shonan Fujisawa Campus
Course Summary (Syllabus)


REGION AND SOCIETY (ASIA AND PACIFIC) (Eiichi Tajima

    Semester : 2007 Spring
    Code : 32130 / 2 Credits


1. Objectives/Teaching method

    中国大陸部を主な議論の対象とするが、必要に応じて台湾、海外華人社会についてもふれてゆきたい。ハンナ・アレントによれば、独立戦争前夜の米13州には、すでに参政の意欲を持った一群の地方有力者たちが存在した。しかし中華帝国がその規模を維持したままの国民国家形成を志向した結果として、中国は民意を反映・集約するような公共空間構築の機会を失った。換言すれば、国民党にせよ共産党にせよ一党支配の形態をとり、上からの「指導」という形で国家運営をせざるをえなかったのは、そうした社会状況の必然的な反映でもあったのだ。ゆえに、中国の民主化を構想する時、それは純然たる制度論ではありえない。社会の実情を無視した制度論は、必ず机上の空論として退けられることになろう。この科目においては、そうした中国社会の実情を様々な側面から分析しつつ、民主化の契機がどこにあるのかについても考察してゆきたい。


2. Materials/Reading List

    その都度、提示します。


3. SCHEDULE

    #1 重層的「中華」:「中国」はひとつではない
    考察対象としての「中国」には、文明単位、血縁共同体、国民国家など様々な位相がある。

    #2 文明:儒教は国家イデオロギーか、宗教か?
    文明世界としての中国において、OS(その他の諸文化はアプリケーション・ソフトに相当)として機能するのが宗法的信仰であり、その「神学」が儒教であるといえる。

    #3 血縁:宗法的信仰の変容
    宗法的信仰は、国外のレイシズムや進化論との出会いの中で、徐々に血縁共同体としての「漢族」を形成してゆく。

    #4 イデオロギー:「中国」的マルクス主義
    「実事求是」の精神のもと、中国におけるマルクス主義は、文明幻想、血縁幻想、宗法的信仰の影響の下、たえず変容をくりかえし、今や世俗宗教化しつつある。

    #5 格差:「小資」と「憤青」
    改革開放において周縁化を強いられたのは、かつて共産党の支持基盤であったはずのプロレタリアートや農民たちであった。一方改革開放が海外華人の対中投資を促し、これが血縁共同体の再構築へとつながり、ひいては「憤青」を生んだ。

    #6 メディア:中国インターネットの夜明け
    マクルーハンは、メディアを「リアル」そのものであるとした。インターネットという新たなメディアは、国民という「リアル」な共同体をも変容させた。

    #7 少数民族問題:ふたつの「チベット」
    民族宗教政策が正常化すると、文化大革命で政府への不信感をつのらせたチベット族僧侶とチベット亡命政府との間に、共闘関係が構築されはじめた。

    #8 国情論:全面的西洋化か、中国固有の近代化か
    1980年代、中国の論壇で近代化のありかたをめぐる論争が展開された。これは、1920年代の論争の第二ラウンドでもあったが、天安門事件という極めて不幸な形でピリオドを打たれる。

    #9 現代宗教論1:牛街に見るイスラーム
    北京牛街は中国イスラームの中枢であり、中国の政治状況、社会状況に順応したイスラームの縮図でもある。

    #10 現代宗教論2:三自愛国運動と中国プロテスタント
    中国共産党は事実上の官製教団によって宗教の政治化を「上から」はかった。これは宗教における「下から」の政治的覚醒である「解放の神学」などとは異なり、さまざまなゆがみをも生んだ。

    #11 現代宗教論3:バチカンとカトリック聖職者叙任権問題
    中国天主教愛国会とバチカンの確執は、その「対称性」にプロテスタントをめぐる問題との最大の違いがある。

    #12 公共性:公共知識分子とNPO
    中国公共知識分子とNPOは、下からの公共空間構築に向けた重要なアクターではあるが、国家、社会の双方からたえず周縁化の圧力を受けている。

    #13 公共空間:理性的ディスクールは可能か?
    12回の講義をふまえ、民主化を社会から支えうるような公共空間の構築が中国において可能であるか否かについて考察する。


4. Assignments/Examination/Grad Eval.

    出席、最終レポート。


5. Special Note

    特になし。


6. Prerequisit / Related courses

    -


7. Conditions to take this course

    なし。


8. Relation with past courses

    「リージョナルアナトミー論A」「リージョナルアナトミー論C」「リージョナルアナトミー論G」*これらの科目を進級、卒業あるいは修了に関わる科目の単位として修得済みの学生は、自由科目としての履修のみ可能。


9. Course URL


2007-02-22 00:02:36.041689


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