face 比較文化A 2002
担当:國枝 孝弘古石 篤子堀 茂樹
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 この授業の目的は現代の欧州、とりわけフランスの実像を探り、 それを一種特異な拡大鏡として現代日本を、 あるいはより一般的に現代の世界を顧みることにある。  従来、 わが国におけるフランスのイメージはきわめて偏ったステレオタイプの積み重ねにとどまっているが、 それでも近年、 サッカー日本チーム監督トルシエ、 日産自動車社長ゴーンの登場によって、 そうしたステレオタイプに少し風穴が開いたかに見える。 この授業では、 その風穴を押し広げ、 日本人一般にとって合点しやすい鋳型にはおさまらぬ、 したがって 「違和感」 に満ちたフランスおよびフランス国民の姿を発見しようと試みる。 西欧の 「文明国」 を無批判に仰ぎ見る時代はとうに過ぎ去った。 しかしまた今日、 「もはや西欧から学ぶものはない!」 などと嘯 (うそぶ) くのも、 浅薄の誹りを免れない。異文化を理解するとは結局、 その異文化に接するときに自らが覚える違和感を知的に検証することと表裏一体なのだ。  この授業はSFCフランス語教室の専任教員4名が担当し、オムニバス形式でおこなう。具体的内容は現在(2002年1月)なお相談・構想中であるが、いずれにせよ、近年慶應義塾ニューヨーク高校の校長としてNYに滞在した井上輝夫(専門:近代フランス文学、日本現代詩)は、米国、欧州、日本、そしておそらくアラブ世界を視野におさめた現代文明論的考察を展開するだろう。古石篤子(フランス語学、言語教育政策)は、ヨーロッパの言語文化状況を解説しながら、我が国のそれをも分析するだろう。また、堀茂樹(現代フランスの思想&文学)は、フランスの地政学的条件や歴史的文脈を踏まえつつ、現代フランスの政治と言論におけるいくつかの争点を浮き彫りにしようと試みるにちがいない。さらに、國枝孝弘(近代フランス文学、フランス語教育)は、専門の文学だけでなく、そこから越境してアート、音楽、映画などに言及する予定だ。4名が一致協力し、何らかの共通テーマを軸として、全体として脈絡の明らかな講義をおこなうように努める。